建専連インボイス制度調査/2割が取引方針未定、免税事業者の動向注視

消費税のインボイス(適格請求書)制度を巡って、免税事業者となる一人親方との取引方針が定まらない専門工事業者が少なくない現状が、建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)の調査で浮き彫りになった。回答した会社の約70%が免税事業者と取引していた。このうち約半数は「免税事業者のまま取引を続ける」と回答したものの、今後の方針は「まだわからない」が20%を超える結果となった。
調査は正会員34団体の会員企業とその下請企業を対象に2023年10~12月に回答を求めた。回答者の区分は本則課税事業者(95・6%)と簡易課税事業者(3・3%)がほとんどを占め、免税事業者は1・2%にとどまっていた。
取引事業者に占める免税事業者の割合は、36・7%の「1割以下」が最多。次いで26・9%の「取引を行っている免税事業者はいない」で、土木工事、とび・土木工事の業者でその割合が大きかった。
免税事業者の一人親方との取引方針については、回答(その他〈3・5%〉除く)が多い順に▽免税事業者のまま取引を続ける(44・7%)▽課税事業者に転換してもらい取引を続ける(24・2%)▽わからない(22・7%)▽取引をやめる(2・6%)▽社員として雇用する(2・4%)-だった。
「免税事業者のまま取引を続ける」の割合は前年度(19・7%)から20ポイント以上増加し、「わからない」は前年度(41・2%)を大きく下回った。「わからない」という回答が依然多く、建専連は「(一人親方との)取引に対する方針が未定である様子が見受けられる」と分析している。一方、インボイス制度が23年10月に開始されたことで事業者側の認知が進み、「取引を続ける」や「わからない」といった回答の割合に変化が出たという見方もあるという。
一人親方を除いた免税事業者との取引に関しては、「免税事業者のまま取引を続ける」(38・4%)が最も多く、次が「課税事業者へ転換してもらい取引を続ける」(33・9%)だった。免税事業者との取引の価格設定は「従来通りの価格で取引」(65・8%)、「消費税相当額を値引いた価格で取引」(31・2%)、「その他」(3・0%)の順に多かった。
インボイス制度は、免税事業者であっても一定の仕入税額控除が受けられる6年の経過措置が設けられている。建専連は制度に対する会員団体の企業の関心は大きく、制度の認知も進んでいると見ている。ただ一人親方は免税事業者が多いとされ、引き続き取引の実態と免税事業者の動向を注視していくという。

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