内閣官房復旧・復興支援総括官・長橋和久氏に聞く/関係者が力発揮できる体制へ

4月1日付で就任した内閣官房の長橋和久復旧・復興支援総括官が日刊建設工業新聞社の取材に応じ=写真、能登半島地震被災地の復旧・復興支援について、今後の方針を明らかにした。人口減少や高齢化を踏まえ、災害時の広域連携の重要性を強調。被災自治体だけでなく、支援する国や建設業を含む民間企業、NPO法人などさまざまな関係者がさらに力を発揮するため、体制づくりを模索する考え。「制度的に必要な対応があれば考えていきたい」と展望を語った。
前職の国土交通省総合政策局長の立場でも、能登半島地震の発災直後から復旧・復興支援に携わっていた。「今後は政府全体の取り組みを俯瞰(ふかん)しながら関係省庁間の連携を強化するのが役割になる」と説明した。
元日の夕方に発生した能登半島地震。被災地は地理的制約や高齢化の進展など社会的な制約に加え、日没前という時間的な制約が重なり、被害状況の把握や道路啓開で難しい面があったという。長橋氏は「災害はいつどこで起こるか分からない。平時から最悪の事態を想定して準備をする重要性が改めて浮き彫りになった」と指摘する。
現在、国による能登半島地震発災後の自治体支援や被災者支援の在り方などを検証している。ドローンなど復旧・復興に向けた新技術活用の効果や開発動向なども調査中だ。こうした検証結果は、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」への対策の反映をにらみ、6月にも公表する予定。「今後の災害に援用できる対策にしていきたい」と意気込みを語った。
甚大な被害を受けた石川県が「石川県創造的復興プラン(仮称)」の策定を進めている。こうした被災地の主体的な動きを踏まえ、「被災自治体と緊密に連携し、ニーズや状況変化を踏まえた必要な対策、財政支援を通じて、被災自治体が地域の将来像を実現できるよう後押ししていきたい」と力を込めた。
復旧・復興に向けて、建設会社が被災地で日夜汗を流していることを受け、「宿泊所が不足する中、建設業団体の会員企業がキャンピングカーで駆け付けて応急復旧に当たってくれた」と謝意を示した。その上で、「防災という、国を守る、地域を守るという中で、建設業の役割は非常に重要」と改めて強調。「言葉だけではなく、地域の防災体制の中で建設会社の役割をどのように位置付けていくかよく考えていく必要がある」と提起した。

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