奈良県の激戦区NSCに出店! 「ロピアフレスポ桜井店」の現場レポート

ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)が奈良県桜井市郊外の近隣型ショッピングセンター(NSC)「フレスポ桜井」内に「ロピアフレスポ桜井店」(以下、桜井店)を昨年12月8日にオープンした。同店は奈良県3店目、関西地区では16店目になる。どのような売場づくりをしているのだろうか。
調査日=2024年2月3、4、5日 ※本文中の価格はすべて本体価格

オープンモールの「フレスポ桜井」内に出店した

大型スーパーひしめく激戦区に出店!

桜井市は奈良県中部の中和地域に位置し、奈良市と隣接。人口は約5万5000人弱。

「桜井」駅周辺は大型店の激戦地区だ。駅前には「トライアルスーパーセンター桜井栗殿店」(2020年2月開店、食品売場約510坪 ※歩測)、約300m離れてオークワスーパーセンター桜井店(10年3月、食品売場約580坪歩測)がある。車で7~8分の上之圧、東新堂地区には「イオン桜井店」(1997年11月、食品売場約630坪歩測)のほか「コメリ」「ジョーシン」などが店を構える。

その約300m先に今回ロピアが出店し、「ABCマート」「はるやま」が入るNSC「フレスポ桜井」がある。道路を挟んだ場所には、「ラ・ムー桜井店」(15年4月、食品売場約530坪歩測)、その周辺には「TSUTAYA」「しまむら」「西松屋」のほか回転寿司や中華などの飲食店が集まっているロードサイドの商業ゾーンを形成する。そのほかにも「業務スーパー桜井店」「MEGAドン・キホーテ桜井店」などがある、まさに激戦区だ。

今回の調査では、開店から60日余り経過した週末に店舗を訪ねた。2月3日の節分の日には11時頃に50人ほどが恵方巻を買うために行列をつくり、鮮魚売場の米飯コーナーには15時過ぎまでお客が並んでいた。担当者も早朝から仕出しをしていたようだが供給が間に合わず、売場は混乱していた。

桜井店の売場面積は510坪と標準スタイルより若干狭い。売場スペース構成比は生鮮35%、日配22%と両部門合計で60%。精肉が約53坪(歩測、以下堂)、鮮魚約52坪歩測とスペースは確保されているものの、青果は約50坪歩測と狭く、売場はやや窮屈な印象だ。総菜はワンウエイ・コントロールの最終ゾーンでレジ横にあり、本来の力を発揮できていないように見える。総菜単独の配置では勢いが削がれてしまうのかもしれない。

ロピアフレスポ桜井店の売場レイアウト
ロピアフレスポ桜井店の売場スペース構成比

部門別に売場を見てみよう。

青果売場の入口は狭く、2人が通るのがやっとで、お客が滞留していた。壁面20尺では旬のイチゴを展開。熊本県産「ゆうべに」、栃木県産「とちあいか」が399円、徳島県産「さちのか」、奈良県産「あすかルビー」は499円のほか、奈良県産「奈乃華」(599円)、岐阜県産「みの娘」(2パック1200円)、福岡県産「あまおう」(同1000円)と扱いアイテムも多く、価格にも幅を持たせている。

競合店の青果売場を見ると、価格帯は合わせているものの、扱い商品が少なく、ロピアに押されているようだ。桜井店のキャベツ、大根などはビッグサイズで鮮度もよく、お客の多くが購入。競合するラ・ムーはロピアに対抗し、価格訴求を行っていたが、他の競合店はは対抗できず標準価格で対応していた。

鮮魚売場の配置は基本スタイル。左壁面36尺でマグロ、刺身冊、米飯を配置。調査日は行列ができていて、売場はふさがれていた。行列客の目当ては「海鮮丸かぶり巻き」「海宝巻き」(各890円)、「本鮪尽くし巻き」(1190円)で、スタッフは早朝から仕込んでいたようだが、想定以上の客が集まって、1時間待っても商品が間に合わっていない状態で、苦情も多かったようだ。スタッフもクレームに対応しながら売場を運営していた。そのほかの総菜売場の商品も15時過ぎには売り切れ状態となっていた。

宮城県産の生銀鮭は3枚で800円

他店に真似できない品揃えと価格訴求

精肉も標準スタイルの売場となっている。左壁面36尺は豚肉で、大阪府高槻市の高槻プロセスセンターからの納品商品をベースに構成。正面壁面36尺は牛肉をブロック、ステーキ、焼き肉、しゃぶしゃぶとメニュー別に陳列。「黒毛和牛」「みなもと牛」を軸に、輸入牛を絡めて展開している。左端にはラム肉を配置する。

平台は3台。エンドには日替わりで牛肉・豚肉・鶏肉の訴求品、サイドは16尺冷蔵・冷凍什器を配置する。輸入豚の「メガ盛り」、冷凍の「ハンバーグ」「鍋用肉団子」「馬刺」「北京ダック」、オリジナルの「えびす鶏」や味と質の銘柄「地養鳥」、さらに手羽トロなどの希少部位も扱い、メイン通路には「プルコギ」を配置する。

宮城県産の生銀鮭は3枚で800円

この平台の商品構成がロピア独自のスタイルであり、他のチェーンでは真似できない品揃え、一般客だけでなく、飲食店関係者にとっても魅力のある商品群となっている。

価格訴求も圧倒的で、桜井店では「国産鶏もも肉」を100g当たり79円で販売。競合するラ・ムーは89円、イオンが108円、トライアルが95円、オークワ148円と、ロピアが断トツの安値となっている。

総菜売場はレジに近い最終コーナー。天井壁面には「aim for only one LOPIA ORIGINAL」(唯一のロピアオリジナルをめざして)と掲げられ、同じフレーズが記されている黒い箱に入れて「究極のマルゲリータ」「シーフードピザ」など999円5品目を販売していた。

「ウィンナーベーコンピザ」など人気のピザ5品目は990円

平台には「UFOチキン」(999円)、「ロピチキ」(1500円)、「焼鳥盛り合わせ30本」(1650円)などロピアならではの商品を展開。壁面の冷蔵・冷凍ケースでは、この日は「恵方巻」が主役だったが、「ローストビーフサラダ」(690円)、「ミルフイーユローラー8個」(690円)、「台湾よせそば」「あさりビーフン」(600円)などグループ企業の利恵産業製造の商品や輸入品などを配置していた。

後編では日配・加工食品などの売場を見ていきたい。

(店舗概要)
所在地 奈良県桜井市東新堂520-1 フレスポ桜井C棟
開店日 2023年12月8日
売場面積 約510坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 198台

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