人手不足「シニア」に活路 再雇用・定年延長で現役並み処遇

人手不足が進むなかで、シニア社員の活用に活路を見出す企業が増えている。

伊藤忠テクノソリューションズ(東京都港区)は4月から定年後の再雇用制度を、嘱託再雇用制度として刷新した。転勤や出向の有無、週4日勤務の可否などに応じて3コースを設定し、キャリア採用した嘱託社員も含めて適用。定年前の部署の継続のみならず、経験やスキルを活かした組織・役割への異動も認める。

具体的には、「高度専門職コース」「専任職コース」「専属職コース」を整備し、 本人の希望と事情を考慮して所属長が決定。専属職と専任職の2コースは、役割・貢献への嘱託給を正社員と同水準で設定する一方、専属職コースは業務量や負荷を軽減している。


カルビー(東京都千代田区)は4月にシニア社員制度を改定し、特に熟練のスキルや高度な専門性を持つ60歳以降の社員を、定年到達時の処遇で再雇用する「シニアマイスター」を新設した。また社外で通用する専門性を持つ社員に適用する従前の「シニアエキスパート」の報酬も、現役世代のエキスパートと同水準まで拡充。契約期間はともに3年上限とするが、雇用上限65歳を超えて雇用継続を可能とする。


定年後の継続雇用制度の拡充ではなく、定年年齢そのものを引き上げる企業も少なくない。

三井E&S(東京都中央区)は4月より、定年年齢を従前の60歳から65歳へと延長した。60歳以降に適用していたシニアエキスパート制度を廃止した上で、60歳以上の従業員の役割を「長年の知識・経験を生かした若年層の育成、組織ミッション推進・補佐・指導」と再定義。他方で、「役職任期制/役職定年制」を導入し、世代交代と組織の継続性の両立を図る。


ダイキン工業(大阪府大阪市)も4月1日、定年年齢を従前の60歳から65歳に引き上げている。59歳以下に適用する資格等級・評価・賃金制度を65歳まで継続運用して、賃金も65歳まで一貫性のある体系へと変更。また従前まで56歳としていた管理職の役職定年を廃止するとともに、能力や成果に応じて60歳以降も昇格・昇給する仕組へと見直している。

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