駅発わずか2時間でも「陣跡&史跡」4か所まわれる「関ケ原」歴史・低山ハイキング

江戸時代に天下分け目の決戦「関ヶ原の戦い」の舞台になった関ケ原(撮影:西野くに)

「関ケ原」と聞くと、日本の歴史のターニングポイントとなった戦いの地であることを思い浮かべる人は多いだろう。1600年に東軍の徳川家康と西軍の石田三成の天下分け目の決戦「関ヶ原の戦い」が行われた舞台であることは広く知られている。

しかし、京都や鎌倉のように大規模な観光地となっておらず、筆者は、少し地味な印象も持っていた。だが、実際に訪れてみると歴史を感じられるロマンあふれるスポットであった。

今回は筆者が実際に関ケ原を訪れ、2時間ほどハイキングを堪能してきたので紹介したい。

■名古屋から意外と近い! 1時間ほどの場所にある関ケ原

「関ケ原」というと、漠然と遠いイメージを持つ人もいるかもしれないが、名古屋駅からはJR東海道線を利用して、1時間程で訪れることができる。東海道新幹線の米原駅からも在来線で20分程の立地なので比較的アクセスのよい場所にある。

歴史的な合戦場はJR関ケ原駅から徒歩圏内に多く残っているので、実はウォーキングしながら訪れやすい場所となっている。筆者も関ケ原駅から徒歩で周辺をめぐり、歴史の舞台を味わった。

■駅を降りたらそこは「歴史の舞台」

関ケ原駅から降りたら、歴史の舞台は始まっている

関ケ原駅を降りたら、もうそこは合戦場の舞台。駅から線路沿いに歩いたら、5分もしないうちに、最初の舞台が見えてくる。線路を越えて直ぐの場所にあるのが「東首塚」と「松平忠吉・井伊直政 陣跡」である。

東首塚とは、家康が関ケ原合戦後、味方が討ち取った敵将の首実検(討ち取った首を持ち寄って確認したり、戦功の判定をしたりすること)をし、その後、東西の2か所に埋葬したうちの東側にあることからその名がついたという。

当時は誰を倒したのか討ち取った首で判断したとされており、今考えると少し残虐な方法にも思えてしまうが、「首化粧」というお歯黒を施す仕事もあったといい、お歯黒をすることで良い恩賞を称えることもあったとされる。

「松平忠吉・井伊直政 陣跡」は、東首塚とほぼ同じ場所にあり、赤門があって石碑が立ち、これからの散策に胸が躍るスポットだ。

東首塚からは北側の景色が開け、町役場や笹尾山にある「石田三成 陣跡」まで眺められる。

■徳川家康が陣を取った舞台へ

次に訪れたのが、松平忠吉・井伊直政 陣跡から5分ほどに位置する「徳川家康最後陣跡」だ。

ここは開けた場所となっていて、石碑や案内板も設置されている。関ヶ原の合戦では、この場所で東軍のトップとして家康が指揮を取っていたかと思うと感慨深い。椅子に座り、家康になった気分で周囲の山々や数ある戦地を眺めると、頭の中にはそれぞれの関ヶ原の決戦が再現されるのではないだろうか。

家康は当初、桃配山(ももくばりやま)に陣をとっていたが、苦戦に苛立ち石田三成の本陣の近くへ移動したとされている。その後、小早川秀秋が裏切り、家康率いる東軍が勝利となった。現在は陣場野公園となっており神社も隣接している。

■最後の決戦の地と石田三成陣跡の笹尾山

家康の最後の陣跡を訪れたら、最大級の激戦が繰り広げられたといわれる「決戦地」と石田三成の陣跡へ踏み込んでみてはどうだろうか。「徳川家康最後陣跡」から決戦地までは、1km弱で、歩いて15分ほどの道のりだ。

この場所で笹尾山から下りた西軍と、家康率いる東軍が激しい戦いをしていたと思うと歴史のロマンを感じさせてくれる。決戦場を訪れた後は、三成の陣があったという笹尾山へ向かってみる。

笹尾山は決戦地の北西に位置する標高200mの小さな山で、三成の陣があった場所だ。笹尾山へ登る道は階段が整備され、登山口から山頂の展望台まで5分ほどで行き来できる。決戦の当時は、多くの武士が死に物狂いで登っていたことを思うと、安心して登れる平和な世の中のありがたさを痛感する。

笹尾山の山頂からは、関ケ原を全体的に見渡すことができ、各陣跡がわかる地図が設置されている。「石田三成陣跡」の石碑も建っている。展望台の近くにはテーブルもあり、お弁当やランチを食べる場所としても最適だ。

■もっと詳しく知りたい方は「岐阜関ケ原古戦場記念館」へ

徳川家康や石田三成など名将たちの陣跡や笹尾山を実際に訪れたら、もっと歴史を知りたくなった。そんな人におすすめなのが、関ケ原町役場の横にある「岐阜関ケ原古戦場記念館」だ。

1階はシアターなど映像で関ヶ原の合戦を知ることができ、2階は展示コーナーが中心となっている。展示コーナーには実物の展示品もあり、見ているだけで胸が熱くなる。時期によっては、特別展や講演会なども実施され、何度訪れても楽しめるスポットとなっている。

5階には展望室もあり、ここからも関ケ原全体を見渡せるので、忘れずに訪れてみてほしい。館内にはお土産や飲食コーナーもあり、観光客にはうれしいスポットだ。

【岐阜関ケ原古戦場記念館】
住所:岐阜県不破郡関ケ原町関ケ原894-55
電話番号:0584-47-6070

●【MAP】岐阜関ケ原古戦場記念館

■サイクリングなら多くの陣跡をまわれる

また、関ケ原駅前には観光情報の発信拠点である「関ケ原駅前観光交流館(愛称:いざ!関ケ原)」があり、レンタサイクルを利用することができる。自転車とヘルメットを借りて、関ケ原の散策を楽しめるのだ。

自転車を借りれば、より遠くの史跡や歴史スポットを訪れることが可能になるだろう。館内にはガイドマップや史跡めぐりのモデルコースを記載した地図なども多数配布されているので、初めて訪れた人はぜひ寄りたい場所だ。お土産を購入できるのもうれしい。

【関ケ原駅前観光交流館】
住所:岐阜県不破郡関ケ原町大字関ケ原598-4
電話番号:0584-43-1600

■関ケ原で日本の歴史を感じる

名前だけは知っているが、訪れたことのある人は少ないかもしれない「関ケ原」。今回は駅から2時間程度、約4kmを徒歩で巡った。実際に歩いてみると、平地が多く、笹尾山も階段で上がることができて、駅からのハイキングコースとして、とても満足度が高かった。

筆者自身、歴史にそれほど詳しいわけではないが、わずか2時間で多くの史跡や有名な将軍たちの陣跡を見ることができ、歴史の勉強にもなった。家康最後の陣から光成が陣を置いた笹尾山までは歩いて15分ほどと、見渡せる範囲で激戦が繰り広げられたことにも正直驚いた。次回はもう少し時間を割いて、レンタサイクリングで巡りたいと考えている。

【今回のルート】
関ケ原駅出発→松平忠吉・井伊直政 陣跡および東首塚→徳川家康最後陣跡→岐阜関ケ原古戦場記念館→決戦地→笹尾山・石田三成 陣跡→関ケ原駅着
所要時間:約2時間(各所で5分程度休憩含む)

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