別府市の佐藤さんの和歌、賀茂別雷神社の曲水宴で最優秀 一般応募者代表として唯一出席【大分県】

賀茂曲水宴で最優秀歌に選ばれた佐藤信二さん=別府市
賀茂曲水宴に出席した佐藤信二さん。平安時代の装束を身にまとった=京都市の賀茂別雷神社

 【別府】京都市・賀茂別雷(かもわけいかづち)神社(通称・上賀茂(かみがも)神社)の「第31回賀茂曲水宴(かもきょくすいのえん)」で、別府市東荘園の佐藤信二さん(78)の和歌が献詠された。全国から選ばれた最優秀歌。平安のみやびを再現した行事にも一般応募者の代表として唯一、出席した。

 曲水宴は古代中国が起源。庭園を流れる小川に沿って歌人が座り、杯が流れてくるまでに即興で歌を詠む。同神社では平安末期に催されたのが始まり。保存会によって1994年に復活した。

 今回の歌題は「菫(すみれ)」。全国から約200首が寄せられ、優秀歌3首、佳作は6首が選ばれた。佐藤さんの和歌は優秀歌の最上位「天」。作品は「菫咲く 岬の端(はな)に 立ちつくし 都井の野生馬 沖に嘶(いなな)く」。宮崎県の都井岬の野生馬に自身を投影し、失恋や絶望の思いを表した。

 佐藤さんは緒方町(現在の豊後大野市)出身。埼玉県内で会社経営などをしていたが、10年ほど前にUターンした。時間をもてあましていたことから以前から関心のあった短歌教室へ。全国大会などでの入賞を重ね、日本歌人クラブ会員でもある。

 曲水宴の当日、歌会始の選者など一流の歌人と共に佐藤さんも出席。装束をまとい、和歌を短冊にしたためた。

 佐藤さんは「特別な行事に参加し、とても緊張したが貴重な体験ができた。これからも歌を作り続け、自分の力を試してみたい」と話している。

© 有限会社大分合同新聞社