「つらすぎて泣いた…」相次ぐ盗難被害に悲鳴 なぜウチの会社ばかり? 厄払いも効果なし

切断された3本の送電ケーブルを見つめるイナセ代表取締役の川田賢興さん【写真:ENCOUNT編集部】

「さすがに死体蹴り…誰か慰めてくれ!!」

なぜ人の物を盗むのか。それも1回だけでなく、2回、3回と……。空き巣、車上荒らし、自動車盗難に続き、太陽光発電施設のケーブルまで盗まれたのが株式会社イナセ(埼玉・伊奈町)だ。なぜここまでターゲットにされているのか。代表取締役の川田賢興さんに、現地で詳しい話を聞いた。

ゴールデンウイーク明けの5月6日、川田さんは、自身のX(@kawaken1985)で悲痛な声を上げた。

「つらすぎて泣いた…『空き巣』『車上荒らし』『盗難車両』に続いて、今度は、ウチの太陽光発電のケーブル盗まれました。窃盗団さんもうウチを狙わないで…さすがに死体蹴り…誰か慰めてくれ!!」

添えられたのは、ケーブルが無残に切断された施設の写真。

「警察の人にもまたすか! ってびっくりされる始末…悲しい…犯人捕まって欲しい…」とため息が漏れた。

会社は伊奈町の工業団地の一角にある。埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)志久駅から徒歩15分ほどの場所だ。

最初に空き巣が入ったのは、2021年のこと。会社の横からシャッターを開けられ、現金や物品など100万円相当を奪われた。さらに昨年11月には会社の駐車場に停めていた自動車3台が深夜に同時に狙われた。2台は車上荒らしに遭い、ガラスを割られて、工具などを盗まれた。そしてもう1台は車両ごと持ち去られた。被害総額は200万円に上る。防犯カメラの映像には、見張り役を含め、3人の男が映っていた。

大きなダメージを受けていたところに、今回の盗難発生だ。会社の裏手5分ほど歩いた空き地に、228枚の太陽光パネルを設置している。川田さんがゴールデンウイークに清掃のため訪れると、発電した電気を電力会社に送るための送電ケーブルが切断され、盗まれていることに気づいた。

「パネルを掃除しなきゃいけないので、たまたま掃除しようと思ったら、あれなくない? って」

ケーブルは30メートルほどあり、3本1セットになっている。ブレーカーを落とせば、工具で簡単に切断できてしまうという。「ケーブルへの需要が高まっている。ネットとかで売っているんですけど、すごい高くて」。価格はかつての2倍に高騰。現在品薄になっており、犯人の目的を「転売ですね。中古で売るぐらいしかできない。足もつかないし」と指摘した。

ケーブルがなければ、いくら発電しても売ることはできない。調べると、切断されたのは今年1月だった。「1か月22、23万ぐらいで売電していました。それが完全に止まっちゃう。修理費より売電できないのがつらい」。修復のため、ケーブルを発注しているものの、いつ届くのかも分からないという。

「厄払いしてきてこのザマ。何も変わらない」

なにかと狙われる事態を受け、川田さんはゴールデンウイーク前に厄払いを済ませたばかりだった。その直後の“再々盗難”にあ然とするしかない。

同一犯なのか、それとも別々の窃盗犯なのか。警察には都度相談し、被害届を提出している。いずれの捜索状況も、「手がかりは全くなくて、ほぼ捕まらないって言われています」。回収はほぼ不可能だと告げられている。

川田さんによると、道路を挟んだ向かいの会社や近隣でも空き巣などの被害を受けている。「狙われているなと思います。この通りは結構、狙われやすい。空き巣か車上荒らしが多いですね」。太陽光発電ケーブルの盗難も、「警察の人が言うには結構あるみたいですね」と頻発していると明かした。

入口正面の駐車スペースで3台が狙われた【写真:ENCOUNT編集部】

防犯カメラを増やしたいが…かさむコスト

対策には防犯カメラを増やすしかないが、窃盗犯はあらゆる場所から隙を突いてくる。監視には維持費もかかるため、すべてに設置するわけにはいかない。「無理ではないですけど、コストがあるかどうか。これ以上投資したくなくて」。ちなみに車両盗難は、「一瞬ちらっと映った画像を見ると外国人ぽい。90パーぐらい」とのことだ。

今、犯人に伝えたいことは。

「とにかく返してほしいですね。返して(施設を)直してほしい。人のものを取る行為は、すごく悪質だなと思います。なんで人に迷惑かけて稼ごうとするんだろう。それはちょっと許せないです」

安全な国ニッポンはどこへいったのか。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム

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