太古の地層、まるでヘビ!? 赤川層内褶曲「福島市の天然記念物に」

まるでヘビのようにくねくねと曲がった中野側の赤川層内褶曲=福島市飯坂町

 福島市飯坂町の山中にある「赤川層内褶曲(しゅうきょく)」を市の天然記念物に指定してもらおうと、地元の飯坂町史跡保存会は本年度、指定に向けた働きかけに本腰を入れる。赤川層内褶曲は太古の昔の地殻変動でできたとされ、ヘビのように曲がりくねった地層。見た人が衝撃を受けるのは必至で、顧問の小柴俊男さん(84)は「こんな不思議な曲がり方は、ほかで見たことがない。多くの人の目に触れる環境を整えるべきだ」と力説する。

 褶曲は、平らな地層がプレートの移動などで横からの力を受けてできると考えられている。赤川層内褶曲は同市飯坂町の山の奥にあり、赤川を挟んで中野側と飯坂側の2カ所から見られる。褶曲の上には切り立った30メートル近い崖が続いており、褶曲が相当前の年代に起こったと推測される。

 現地は赤川滝神社に通じる狭い山道沿いで、人家もあるが、交通量はほとんどない。ロープが山道から下方の赤川に向かって続いており、徒歩でロープ沿いに下りれば数分で褶曲を目にすることができる。

 安全のためにロープを張った保存会事務局の斎藤隆一さん(72)は「例えば湖の底のような粘土質の地層に地震や噴火、洪水などで両側から強い力が加わったのではないか」とみている。

 これまで地質学者などが現地を訪れた記録はなく、保存会は今後、市文化振興課に専門的な調査を依頼するという。「今のところ推測しかできず、褶曲が起きた詳しい経過を知りたい」と斎藤さん。「カジカガエルの声も聞こえ、自然豊かな場所。このまま眠らせておくだけではもったいない」と話し、天然記念物指定でこの場所が注目を集めることを期待している。

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