ヘアカラー市場、外出機会の増加に伴い明るい髪色を好む消費者が増加

コロナ禍の間、ダウントレンドが続いていたヘアカラーのマーケットだが、新型コロナウイルスが5類となった2023年5月以降、外出の機会が増えたことで、白髪用・黒髪用ともに復調傾向にある。

カラーシャンプーやカラートリートメントが伸長

KSP-POSによると、白髪用カラーリング剤カテゴリーの2023年4月から24年3月の期間通算の金額PIは、対前年同期比1.7%減の707.2円、数量PIは同3.3%減の0.98と、金額、数量ともに微減となった。

月別の金額PIの推移を見ると、23年4月から24年2月までは前年並みから微減だが、24年3月はプラスへ転じている。

新型コロナウイルスが5類となった2023年5月以降、外出の機会が増えたことで、白髪用・黒髪用ともに復調傾向にある(i-stock/Artem Makovskyi)

ヘアカラーのマーケットで売上の8割以上を占めるのが白髪用のカラーリング剤。クリームタイプを中心に泡タイプや部分染めなどさまざまな剤型があるが、直近ではカラートリートメントやカラーシャンプーといったサブカテゴリーが伸びてきている。

特にカラーシャンプーは、通常の白髪染めのように薬剤を使用した後放置する必要がなく、洗髪する度に自然にムラなく白髪が染まることから人気を集めている。

ダリヤの白髪染めブランド「サロン ド プロ」からは、春の新商品として使うたびに自然にムラなく白髪が染まる「カラーシャンプー」「カラートリートメント」を発売。シャンプーにはうるおい成分の「5つの黒エキス」とつややか成分の「5つの艶オイル」を配合。手間なく、髪を傷めずに白髪対策をしたいというユーザーに向けて訴求する。

さらに30・40代女性向けの白髪染めブランド「クレオディーテ」からはサロンで人気の白髪ぼかしが自宅で簡単にできる「クレオディーテ シークレットハイライト」を発売、新たな客層をつかんでいる。

外国人観光客増加でインバウンドも拡大

一方、黒髪用カラーリング剤カテゴリーの23年4月から24年3月の期間通算の金額PIは、対前年同期比2.1%減の92.12円、数量PIは同4.3%減の0.13となった。黒髪用のカラーリング剤はドラッグストアでの購入が中心だが、eコマースでの購入も増加傾向にある。また外国人観光客の増加に伴い、ヘアカラーについてもインバウンド消費が拡大しつつある。

黒髪用ヘアカラーのトレンドを見ると、昨今のK-POP人気の影響もあり、以前と比べ明るい髪色を好む若年層が増えている。

ダリヤの黒髪用ヘアカラーリング剤「パルティ カラーリングミルク」は、セルフカラーのなかで最も不満・不安の多い「ムラ染まり」を解消する商品。液剤の内容量を既存商品の1.5倍にしたほか、こっくりした乳液タイプで髪にしっかりと密着し、ムラなく綺麗に染めることができる。また牛乳パック形の外箱や、ムードカラーと呼ばれる独自のネーミングも10~20代の若年女性の人気を集めている。

今期は、初めてでもチャレンジしやすい人気のブラウン系として肌なじみがよく、上品なかわいさのある「おねがいブラウン」を追加。全16色+髪色もどし2色のバリエーションとすることで、気分に合わせて選ぶ楽しみを提案する。

コロナ禍が落ちついたことで外出機会も増え、白髪用・黒髪用ともに市場は回復傾向にある。店頭でも剤形別の特長やシーン訴求で来店客の購買意欲を高め、ヘアカラー売場の活性化につなげていきたい。

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