【速報】大阪・清風高校でカンニング後に自殺 第一回口頭弁論で学校側は争う姿勢「威圧的な指導せず」遺族「カンニングは悪い。だが、指導が適切だったのか 」

大阪市天王寺区にある有名進学校「私立清風高校」の男子生徒が試験でカンニングをして指導を受けた2日後に自殺したことをめぐり、男子生徒の両親が学校側に損害賠償を求めて起こした裁判が24日に始まり、学校側は「威圧的な言動はしておらず、安全配慮義務違反はない」などとして、争う姿勢を示しました。

午前10時から始まる第一回口頭弁論を前に、死亡した男子生徒の両親が大阪地裁に姿を見せました。父親は裁判を前に、「カンニングが悪いことは分かっているが、だからと言って人格を否定する言葉を用いた指導が適切なのか問いたい」と訴えました。

■突然の悲劇 一度の過ちをきっかけに「卑怯者」と言われたうえ数々の重い処分

訴状などによりますと、2021年12月、当時高校2年生だった男子生徒は期末試験でカンニング行為が発覚。母親が立ち会いのもとで指導を受けた際、教師から「カンニングがなぜ悪いか」と尋ねられ、男子生徒が「ずるいことをした」と回答すると、教師が「それにとどまらない卑怯なことであり、卑怯者がやることだ」と言われたといいます。

男子生徒の母親は読売テレビの取材に対し、「自らのことを『卑怯者』と言う息子に違和感があった。帰り道に『これからまた一緒に頑張ろうね。私も手伝うからね』と言ったのですが、息子の中では色々思うところが多かったのではないか」と振り返ります。遠方で単身赴任中だった父親も、男子生徒から電話で「ごめんね」と言われたのに対し、励ましの言葉をかけ続けたといいます。

男子生徒には以下の処分がなされました。

・全科目0点

・家庭謹慎8日(この間、友人等との連絡禁止)

・写経80巻、心得書き写し

・反省文と反省日誌の作成

・学校推薦は行わない

特に写経については、1巻1時間程度を要する量で、夜中まで取り組んでいたといいます。

カンニングから2日後の朝、男子生徒は建物から飛び降り自ら命を絶ちました。男子生徒の遺書には「死ぬという恐怖よりも、このまま周りから(学校内から)卑怯者と思われながら生きていく方が怖くなってきました」と記されていたということです。

男子生徒の死亡後、学校側が設置した第三者委員会は「『カンニングは卑怯者がすることだ』という表現はカンニングの禁止を超えた、一つの行為で全人格を否定するような強い決めつけを感じさせる」などと指導の問題点を指摘する一方、「指導が自殺に至った原因とは認定できない」と結論づけています。

これに対し両親は、清風高校を運営する「学校法人清風学園」に対し、安全配慮義務に違反したほか指導が自殺の原因だったとして、1億円あまりの損害賠償を求めています。

第一回口頭弁論を前に、男子生徒の父親は「カンニングが悪いことだと私たちも分かっていますし、指導が必要だというのは分かっているのですが、そのカンニング後の指導が厳しすぎないのかというところがきちんと調査されているのか、理解ができないのです」と話しました。

■学校側「『卑怯者』証言なし 指導は長時間に及んでいない」

これに対し、学校側は第一回口頭弁論にあわせて提出した答弁書で、男子生徒への叱責について、「威圧的な言動はなされておらず、事実確認とやり直しのチャンスがあるので前向きに取り組みを促す指導を行っていた。指導の際に立ち会った教師から『卑怯者』であるとの言葉を言わせていたとの証言は得られていない。指導の際、多数の男性教師に囲まれていたこともなかったし、長時間にも及んでいない」と主張。

その上で、学校側は、「生徒や保護者から指導に対する不満等の申し出はなく、これまでに同様の指導を受けた生徒が自死等に至ることもなかった。男子生徒の自死を予測することは困難であった以上、学校側には安全配慮義務違反はない」としています。

学校側は訴状が提出されて以降、「係争中のため取材に応じることはできない」としています。

第一回口頭弁論を終えて、男子生徒の父親は「生徒によって指導の受け止め方が変わるということが分からないのか。過去になかったから問題がないから『指導が息子の死と全く関係ない』というのはおかしい」と話し、「学校でこのようなことが二度と起こらない社会になってほしい」と訴えました。

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