キャベツ2.5倍、ブロッコリーは1.8倍 野菜の価格が上がってる!? 天候や病害虫が影響 嬬恋村産が出荷で落ち着くか

キャベツを手に取り、品定めする女性=21日、パワーセンターうおかつ群馬町店(高崎市棟高町)

 天候不順などの影響で、全国的にキャベツやブロッコリーの値段が高騰している。農林水産省の調査によると、国内の主要卸売市場の平均価格(20日時点)は、前年同日と比べてキャベツが約2.5倍、ブロッコリーは約1.8倍に。群馬県内スーパーも相次いで値上げに踏み切っている。ただ、高騰は先週までにピークを過ぎたとみられ、特にキャベツは嬬恋村産の出荷が本格化する夏ごろにかけて落ち着いていく見通しだ。

 同省農産局園芸作物課によると、キャベツは暖冬で愛知や千葉県産などの生育が早まり、前倒しで出荷された一方、2月下旬から3月上旬にかけては、冷え込んだ気候の影響で生育不良が生じ、品薄になった。4月以降は曇天や多雨で高温多湿となり、品質が低下。廃棄も生じ、出荷数が落ち込んだ。香川や徳島、熊本の各県が主な産地となるブロッコリーは病害虫の影響が価格に及んだという。

 「家にまだ残ってるし、今日は買わないでおこうかな」。高崎市棟高町のスーパー「パワーセンターうおかつ群馬町店」で買い物をしていた草津町の箱田惺子さん(80)はキャベツを手に取り、「一玉298円」のポップと見比べていた。

 同店を運営するカルチャー(高崎市上里見町)の青果バイヤー、大和卓哉さん(38)によると現在のキャベツの売値は例年の2倍ほどだが、利益はほとんどない状態だという。売れ行きも6割ほどにとどまり、苦境が続いている。

 一箱10キログラム当たり1000円ほどで仕入れるのが通常のところ、現在は約2000円。最も高かった今月10日ごろには5000~6000円に達したが、「そのまま値段に反映しても売れない」。値段は据え置き、赤字状態で販売した。「キャベツは野菜売り場になくてはならない商品。置かないわけにはいかない」と唇をかんだ。

 高騰が落ち着く兆しも見えてきた。同課によると、千葉、茨城県産のキャベツが増量してきた影響で、卸売価格は先週までにピークを過ぎたとみられる。6月中下旬ごろからは夏秋キャベツの生産量全国一を誇る嬬恋村の出荷が本格化するため、価格は下がっていくと予想される。

 JA嬬恋村によると、植え付けが始まった4月中旬以降は強い霜も降りず、生育は順調。例年並みかそれ以上に出荷できる見通しという。担当者は「生産費、流通費の高止まりで厳しい状況にあるが、一大産地として安定供給に努める」と語った。

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