「そのビジネスは時代に求められているか?」見極める目が株式投資の銘柄選びにおいて重要であるワケ【2万人を指導した投資研究家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

個別の銘柄情報だけをチェックしていれば、成長する銘柄に出合えて儲けを得られるのでしょうか? 『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)の著者である児玉一希氏は、「データだけでなく、そのビジネスが時代に求められているかを考えることが重要」だといいます。その理由を書籍から一部抜粋してご紹介します。

時代の追い風に乗って急成長する企業

個別銘柄の優秀さだけではなく、「そのビジネスが時代に求められているかどうか?」「追い風の状況にあるか?」――これも見過ごせないです。

どんなチャートやファンダメンタルズ指標よりも重要かもしれません。実際、私も個別の情報ではなく時代背景から人々に求められるものは何かを考え、その後に具体的な個別銘柄にたどり着くことが多いです。

分かりやすい例ですと、電気自動車(EV)のナンバーワンメーカーとして成長する米国のテスラ。脱炭素化の流れからEV市場の規模は加速し続け、先進国を中心に拡大しています。ある説によれば、2030年までにEV市場は年率13.7%で成長し、9,500億ドル以上の規模になると言われています。

このように、製品が優秀であることはもちろんですが、時代の追い風があると、ビジネスは大きく伸び、そして株価の長期急騰として反映されます

私の投資家としてのアプローチでは、投資候補になりそうな会社を見つけたらその会社が属している業界の「市場規模予測」といったワードで検索します。

必ずしも「急成長業界」である必要はありません。急成長が期待されると、逆に株価にも早く反映され、買われてしまい、投資するころには高値掴みになり得るからです。

それよりも、年に数%でもゆっくりと、しかし安定して長期間成長していく業界の方が適していると思います。また、その成長市場の中において、投資しようとしている会社の製品やサービスの市場シェアが大きく占められていると望ましいでしょう

たとえば、Googleがあのような巨大ITプラットフォーマーになったのは、検索エンジンの中で95%の高シェアを占めており、かつインターネット広告市場が伸びたという時代背景が重なったことに起因します。

高シェアということは、その会社の製品が高く評価されているということ。価格競争にならないため利益率も高くなりやすいのです。

日本にも確実に存在する時流に乗った企業

日本株においても、長期の時流に乗った成長分野は多数あります。長期の時流における代表的な例としては、人手不足の問題があります。日本における15~64歳の生産年齢人口は、2050年には5,540万人、2065年には4,809万人となる見通しです。これは2020年と比べると約2,700万人も減少することになります。

一方、高齢者の数や割合は増え続け、2065年には高齢者世代1人に対して現役世代が1.3人になると言われています。そうなると、日本の各種サービスで人手不足が起きます。すでに近年、コンビニやスーパーでセルフレジが導入され、飲食店でも客が自分でオーダーするモバイルオーダーが普及しています。

また、AIの活用により、高度な技能が必要な仕事でも少人数で対応可能になってきています。介護や保育など、リアルな人でないと代替されにくい職業の現場でも機械化や効率化が進んでいます。この避けられない流れにおいて重要なのは以下の2点です。

・1人当たりの生産性を高めること

・DX(デジタルトランスフォーメーション)を強化すること

そんな時代背景で近年業績を伸ばしているのが、ジェイエイシーリクルートメント(2124)です。彼らはハイクラス高度人材に特化した人材紹介を行っており、外資企業への紹介も行っています。特徴は、1人が入社するだけでビジネスが加速するハイクラス層の転職を中心にしていることです。

さらに、近年はDXやITインフラに強い人材の紹介を始め、まさに人手不足の企業が求めている人材をマッチング・供給する役割を担っています。ハイクラス層の年収は必然的に高くなりますので、手数料もその分稼ぎやすく利益率が高いです。

その上、配当利回り3%台をキープしながら、株価自体も2012年から2019年までに45倍以上と急成長を遂げてきました。これからの時代もウォッチしたい会社の1つです。

世界シェアNO.1の半導体素材メーカーはまだまだアツい

もう1つ、時代背景の事例を上げると、半導体がキーワードとして挙がります。日本は特に半導体の製造装置や材料部品に強みを持っています。そんな中でも強いのが、信越化学工業(4063)の半導体シリコンウエハーです。

信越化学工業は、住宅などに使われる塩化ビニル樹脂、半導体シリコンウエハーで世界シェア1位を誇っています。特に通信機器やAIなど半導体市場の伸びは著しく、信越化学のシリコンウエハーなしでは成り立ちません。

そのため、途中株価の乱高下があるとしても、長期では業績成長が続いていくと予想されます。実際に株価は2016年から8年間で6倍になり、配当利回りはあまり高くないのですが、2016年に1,032円で投資していた場合、2023年3月時点で配当金は100円なので、ほぼ10%という利回りを達成しています。

また、無借金経営でキャッシュに余裕があるため、開発資金を潤沢に出せます。一時的に不調になったとしても、耐えられる体力が十分にあるというのも魅力ですね。

このように、その銘柄が属す業界が長期で成長するのであれば、必然的に時間が経てば経つほど株価・配当金の同時成長を期待できるのです。

児玉一希

株式会社RES 代表取締役

※本記事は『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。

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