長崎・聖福寺修復協力会 会長に田上前市長 資産管理へ法人化 来月12日に山門上棟式

修復作業が進められている聖福寺の山門=長崎市玉園町

 国指定重要文化財4棟の修復工事が進む長崎市玉園町の唐寺「聖福(しょうふく)寺」(横山秀道住職)について、修復費用の捻出を支援している市民団体、聖福寺修復協力会は今月の総会で、2年間空席だった会長に田上富久前市長(67)が就いた。費用は10年間で18億5千万円と試算され、国県市が9割以上支援しているが、寺側負担分がまだ約3800万円不足している。同協力会は資産管理のため一般社団法人化し、今後活動を活性化させるとしている。
 聖福寺は1677年に開創された黄檗宗(おうばくしゅう)の寺院。坂本龍馬が1867年、いろは丸事件で談判した場として知られる。
 2014年、本堂に当たる大雄宝殿と山門、天王殿、鐘楼が国の重要文化財に指定された。同寺が21年から4棟の修復を進めており、一度解体して組み上げ作業を行っている山門は6月12日、骨組みの完成を祝う上棟式が営まれる。
 同協力会は10年、建立から300年以上が経過し傷んでいた4棟の国重要文化財指定や修復を支援するため発足。これまでチャリティーの展示会や音楽イベント、物販をするなどして、市民や団体に寄付などを呼びかけてきた。寄せられた募金は1月末現在、約4400万円。

田上富久さん

 会長職は前任者の死去後空席となっており、今回、活動を活性化させようと田上さんに就任を依頼した。若い頃から聖福寺をお気に入りの場所として訪れており、市長になる前、さるくガイドでも案内していたという。
 同協力会は年会費1万円の特別会員を募集中。特別会員は現在、約80の個人・団体という。田上会長は「静謐(せいひつ)な落ち着く空間。坂本龍馬のいろは丸事件の舞台であり、長崎の歴史の中でも、ここしか持っていない魅力的な場所。寺を未来に残すためにご協力いただけたらありがたい」と呼びかけている。

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