犬の『鳴き声』から分かる心理5つ 何を伝えようとしてる?注意すべき鳴き方まで

犬の「鳴き声」から分かる心理

犬の鳴き声には、犬自身のさまざまな感情が表現されています。鳴き声を聞いて、その時の愛犬の心理が分かれば、今よりさらに上手なコミュニケーションがとれるかもしれません。

そこで今回は、犬の「鳴き声」から分かる心理について解説します。愛犬の心理が今ひとつ分からない、という場合にはぜひ確認してくださいね。

1.「ワン!」とひと鳴きする

犬が「ワン!」と短い鳴き声をあげるときは、相手に対してあいさつをしていたり、遊びに誘っていたりすることが考えられます。

この時、怒ったり興奮したりといったような大きな感情の起伏はありません。さらに、やや明るめの声で鳴いているときにこのような心理でいることが多いでしょう。

また、鳴くことで飼い主さんが振り向いてくれたり、「どうしたの?」と声をかけてくれたりした経験を持つ犬は、気を引くために短い声で鳴くことがあります。

ただし、見知らぬ人や犬に対して、明らかな警戒心を見せながら鳴いた場合は、「なんだ!」「誰だ!」などと軽い警告をしている可能性も考えられます。

2.飼い主さんを見ながら「ワンワン!」と続けて鳴く

家の中で飼い主さんの近くに寄ってきたり、顔を見つめたりしながら「ワンワン!」と2~3回連続で吠えるときは、要求があるのかもしれません。

「お腹すいたよー!」「ごはんちょうだい!」「お散歩行こうよ」など、自分がしたいことがあるときに、飼い主さんに訴えかけていることが考えられます。

鳴いた後に玄関に歩いていって散歩に行きたいことを伝えようとしたり、空のフードボウルをくわえて持ってきて鳴いたり、と非常にわかりやすい行動に出る犬もいます。

ただし、犬の心理が理解できたからといって、そのすべての要求に応えてしまうと、犬はわがままになってしまう可能性もあるので注意しましょう。

愛犬のキモチを理解したうえで、時間を置いてから希望をかなえたり、生活リズムを変えて犬が不満を感じにくい状態にしたりするのがおすすめです。

3.「ワンワンワンワン!」と連続して吠え続ける

犬が何かに対して前傾姿勢になったり向かっていったりしながら、「ワンワンワンワン…!」と長く吠え続けているときは、興奮状態にあることが考えられます。この場合、楽しい・嬉しい興奮ではなく、警戒や威嚇のために吠えていることが多いでしょう。

このような興奮状態になっているとき、不用意に犬の体に触れたり抱き上げたりしないようにしましょう。犬はこのようなときにまわりが見えなくなっていますので、近づいてきた手に噛みついてしまうことがあります。

また、自分の要求や気持ちが伝わらないときに、「なんでわかってくれないんだ!」「いうことを聞いて!」と激しく吠え続けることもあります。こうなってしまったら、あえて距離を取ったり部屋を出て行ったりして、興奮した犬をクールダウンさせるようにしましょう。

4.「キャンキャン!」と鳴く

犬が甲高い声で「キャンキャン!」と鳴くときは、嬉しい気持ちが高まり、テンションが上がっていることが考えられます。

飼い主さんが帰宅したときや、大好きな散歩に行くことがわかったときなどに飼い主さんに飛びついたり、その場をグルグル走り回ったりしながら甲高く鳴いている場合は、そのような気持ちでいるのでしょう。

嬉しそうにしている愛犬の姿は可愛いですが、興奮しすぎると犬が怪我をしたり、近所迷惑になったりすることもあります。

さらに、飼い主さんが「うるさい!」「静かにしなさい!」と同じようなテンションで叱ると、余計に興奮状態になる可能性が高いので、落ち着いて冷静に対応する必要があります。

5.「クゥーン」と鳴く

犬が「クゥーン」と鳴いているときは、甘えたい気持ちがあったり、寂しさを感じていたりすることが考えられます。

なかなか飼い主さんにかまってもらえないときや、何らかのトラブルで不安を感じたときなどに「クゥーン」と鳴きながら飼い主さんに甘えたり助けを求めたりするのです。

詳しくは後述しますが、飼い主さんから離れて犬がひとりでいるときにこのように鳴いているときは、体に痛みを感じている可能性もあります。寝ている時間が長かったり、触れられるのを嫌がったりしている場合は、怪我や病気を疑ってみてください。

注意すべき犬の鳴き方とは?

犬の鳴き声で注意したいのが、身体的なトラブルが起きている可能性があるときです。「キャン!」や「ギャッ!」といった短く響く声で鳴いたときは、瞬間的に急激な痛みを感じたことが考えられます。

犬が走っているときやジャンプしたときにそのような鳴き方をした場合、関節や骨を痛めていたり、足裏に怪我をしていることが考えられます。また、飼い主さんが犬の体に触れたときに鳴いた場合は、その部分に痛みを感じている可能性が高いでしょう。

このような場合は、無理のない範囲で全身のチェックをして、必要に応じて動物病院を受診するようにしてください。

また、老犬が単調な声で鳴き続けるようになったり、声をかけても変わらずに鳴き続けていたりする場合は、認知症の症状があらわれていることも考えられます。その場合、鳴くこと自体をやめさせることはむずかしいものの、適度な運動で体力を使わせてよく眠れるようにするなどの工夫をしましょう。

まとめ

人間と同じ言語を使って会話はできないものの、犬の「鳴き声」はその時の心理を読み取るためにとても役立ちます。

愛犬の鳴き声だけでなく、そのときの表情や仕草、行動も合わせて観察して、何を伝えようとしているのかをしっかりと考えてみてくださいね。

(獣医師監修:寺脇寛子)

※動画・画像がうまく表示されない場合は「わんちゃんホンポ」サイトにてご覧ください。

© 株式会社ピーネストジャパン