宇宙産業、研究会発足へ 茨城県 企業参入後押し 市場急成長、需要取り込む

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県は企業の宇宙産業参入を推進するため、県産業技術イノベーションセンター(同県茨城町)に新たな研究会を立ち上げる。宇宙産業市場は、超小型衛星の開発や衛星データの利活用など急成長している。勉強会や企業間交流などで関連機器の開発や実用化に求められるノウハウを習得し、異業種による進出やベンチャー創業などを後押しする。29日に初会合を開く。

発足するのは「宇宙ビジネス研究会」。宇宙産業分野に関心のある県内の製造や情報サービス関連事業者を中心に参加を募り、2024年度に勉強会や交流会、意見交換会などを行う。 29日の第1回会合では、先行企業による講演や県の事業などを紹介。メンバーとして既に参入している事業者や研究者、学識経験者らも参加する。国際的な規格の取得に必要なノウハウや、開発から実証までの手順についての解説なども行う。

政府は23年6月、「宇宙基本計画」を改定し、産業や安全保障、通信など各分野で政策を強化する方針を掲げている。民間ロケットや衛星データの利用拡大などを成長産業と見据え、市場規模を20年の4兆円から、30年代初めには8兆円と倍増させる目標を掲げている。

研究会の発足で、県は幅広い県内事業者の参入を目指す。同センターの担当者は「宇宙産業の裾野は広い。高い技術を持ち、関心のある県内事業者が一歩を踏み出すきっかけとなるような研究会として位置付けていく」とし、参加を呼びかける。

県は18年度から、「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を開始。宇宙ベンチャーの創出や企業誘致、県内企業の新規参入に注力してきた。

宇宙関連の製品開発や販路開拓への経費を補助するほか昨年6月、つくば研究支援センター(同県つくば市)に支援拠点を開設し、専門的な視点で技術開発のノウハウ伝授や助言などを行ってきた。

県特区・宇宙プロジェクト推進室によると、5月現在で、異業種による新規参入やベンチャー創業、県外からの拠点開設は23社、県内企業の新規参入も28社に上る。

同室は急成長する市場を見据えながら「参入企業を増やし、拡大する需要を取り込みたい」としている。

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