スズメバチ駆除で「150万円」請求の事例も…害虫駆除トラブルが急増中!

(写真:papa88/PIXTA)

「ハチやゴキブリなどの害虫や、ネズミなどの害獣を駆除してもらう『害虫・害獣駆除サービス』にまつわるトラブルが、近年、急増しています。

全国の消費生活センターに寄せられる相談は、2023年度は2千300件近く、前年比で約1.5倍にも増加したため、国民生活センターも注意喚起しています」

こう話すのは、防犯アドバイザーの京師美佳さん(以下「 」内同)だ。

「自宅に害虫が出て、ビックリして慌ててすることが『スマホ検索』という人は、どの世代にも多い。 『料金500円』などという格安業者のページを見て依頼し、法外な料金を提示されるといった消費者トラブルが多発しているんです」

京師さんによれば、狙われる筆頭は、お年寄りと若者だという。

「お年寄りは在宅率が高く、害虫に出くわす頻度も高い。昔のように近所の業者を電話帳で探すのと違い、いまはスマホ一台で見知らぬ業者を呼びよせてしまうんです」

そのスマホ検索に落とし穴が。

「『ゴキブリ』『駆除』などで検索したとき上位表示されるものが信頼できるわけではありません。上位表示は、業者がある程度のお金を支払えば可能なことなんです」

一方、若い世代が狙われるのは、一人暮らし経験が浅いためだそう。

「これまで保護者がしてくれていたことを、自分でする必要がある。害虫が怖い若者も増えています。

いまは18歳でクレジットカードを持つこともできますし、悪徳業者に狙われやすい存在なんです」

■ゴキブリは3万円、スズメバチは5万円程度が相場

では実際の害虫駆除トラブルにはどんなケースがあるのだろうか。

全国の消費生活センターに寄せられた相談内容をもとに構成した、4つの事例を紹介する。

【事例1】ネットで「500円」業者に依頼するも高額で……(20代女性)

深夜のゴキブリ出現にパニック、ネットで「約500円~」という広告を見て電話。「料金は1万円くらいになる」と言われたが、来た作業員には、約10万円の見積書と契約書を手渡された。「仕方ない」と思ってクレジットカードで支払ってしまった。翌日、管理会社の委託業者に見てもらうと「その業者は相場よりかなり高い」と……。

【事例2】勝手にどんどん進めて高額請求(30代女性)

深夜、ベッドの周りにゴキブリ。「約500円、追加料金なし」というサイトに電話。「基本料金約5千円」と言われ不審に思ったが依頼。訪問した作業員は「ゴキブリの卵もあった」「放置すると増えるので徹底的にやったほうがいい」「総額約15万円くらいになる」といってどんどん作業を進めてしまう。 中断を申し出てようやく中断してもらったが「作業した分の料金は払ってもらう」と約7万円請求された。払うよう強く脅され、ネットバンキングを使って支払った。

【事例3】「ハチに刺されて死ぬ」と言われ100万円で契約(50代女性)

庭に大きなスズメバチの巣を見つけ、サイト上で簡易見積もりしてもらうと「約700円~」と表示され依頼。実地調査では「このままではハチに刺されて死ぬ」「近所の人が刺されて死ぬと裁判になり大変な費用がかかる」と約150万円を請求されたうえ、「いまなら約100万円にする」などと言われたため、その場で契約してしまった。

【事例4】クーリングオフを申し出たが「できない」と(50代女性)

ネズミ駆除で「1軒5千円~」とネットに記載がある業者に見積もり依頼。「約13万円」と言われたが、不安が勝り、頭金5千円で作業してもらった。後日、別業者に見てもらうと、「素人の作業ではないか、約13万円は高額だ」と言われた。電話したが「クーリングオフできない」と言われてしまった。

では、私たちは悪徳業者に対し、どんな対策を立てればいいのか。

前出の京師さんに、国民生活センター相談情報部・樋口雄大さんと加藤良太さんが加わって、対策4カ条を教えてくれた。

【1】極端に安い価格に注意

「『基本料金500円』と書いてあっても、現場を見ないと業者にも料金はわかりません。少なくとも3桁台の料金表示には注意しましょう」(樋口さん)

【2】複数業者から見積もりを取る

「複数の業者から相見積もりを取れば、駆除の相場がわかってきます。しかし緊急時には慌ててしまいがちですので、何もない平常時に相見積もりを取っておくこと」

こう話す京師さんが害虫別の駆除の相場を教えてくれた。(地域差などがあるため相見積もりを取ること)

「毒性が弱いハチなら2万円程度、毒性の強いスズメバチは5万円程度。ゴキブリは3万円程度、ダニは10万~15万円程度です。 ネズミは5万~10万円程度。そしてシロアリは、床下や天井などの違いや家の大きさでも変わりますが、3万~15万円程度となるでしょう」

【3】クーリングオフを利用

「訪問販売の場合、契約書面を受け取った日から数えて8日以内ならクーリングオフ(無条件での契約解除)が可能です。作業が完了していても、作業の途中であっても、クーリングオフの対象になりえます」(樋口さん)

「クーリングオフ期間を過ぎても、解約できる場合もあります」(加藤さん)

【4】すぐ消費生活センターに相談

「少しでもおかしいと思ったら、自分だけで抱えず家族や友人、知人に相談を。全国共通の消費者ホットライン『188(いやや!)』にも電話しましょう」(樋口さん)

目の前の害虫より、コワいのが悪徳業者だと肝に銘じておこう!

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