あてはまる数が多ければ致命傷に…株で失敗する人に共通する「10の思考パターン」【元証券マンが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資をして資産をどんどん増やせる人もいれば、損失を積み上げてしまう人もいます。この違いはどこからくるのでしょうか? 本記事では『決算書3分速読から見つける10倍株ときどき50倍株 2年で資産を17.5倍に増やした元証券マンの投資術』(KADOKAWA)から、著者のかぶカブキ氏が証券マン時代のお客様を通して気づいた「株でうまくいかない人たちの思考パターン」を抜粋してご紹介します。

株でうまくいかない人の10の思考

株でうまくいかない人の思考パターンを10個にまとめました。あてはまる項目が複数あれば、それが致命傷になりかねない爆弾のようなものです。詳しく解説していきましょう。

1.売買の根拠があいまい

明確な根拠がないまま、フィーリングで売買をしてしまうということです。そのフィーリングの出どころは、値動きです。初心者ほどほかの人たちが熱狂しているものに惹かれやすく、誰かに教えてもらった銘柄が実際に上がっていると欲しくなってきます。

本来であれば良い銘柄の株価が下がったときが買いのチャンスなのですが、そういうときに買うことはなく、急騰しだしてから慌ててついていこうとします。結果的に天井圏で買うことになりやすく、リスクが高い投資ばかりをすることになります。

2.含み損が出たら「いつか上がるだろう」と長期目線に変更してしまう

価値がある銘柄だからいずれ上がってくるはず、と思える根拠があって、それを信じて持ち続けるのであれば、むしろそれは良い投資だと思います。しかし、勝てない投資家の多くは、「特に根拠はないけれど、いつか上がるだろう」と思考を停止し、とりあえず損切りを先送りするという共通点があります。

たとえば、投資したときの根拠が「次回の決算で良い数字が出ると思うから」だったとしましょう。実際に出た決算がいまひとつで株価が下落した場合、投資したときの根拠は失われたことになります。買った根拠がなくなったのであれば、本来は持っていてはいけないので、すぐ売るという判断をすべきです。

それなのに、その現実から目を背けて「待っていればそのうち上がるだろう」と、都合よく考えを変えてしまうような投資は非常に危険です。待っていても、上がるどころかその後もジリジリと株価を下げていくことがおおいにあり得るからです。

3.買った金額より上がるまでは売らないと頑固に決めている4.含み損がどんなに大きくなっても、決済するまで損はしていないと言い張る

3と4は、損失を極端に嫌う人に見られる思考パターンです。本来はたとえ特定の銘柄で損失を出しても、別の銘柄で大きく儲けてトータルで勝っていれば投資としては成功なので、勝率を100%にする必要はないのですが、こうした人は損失そのものを許容できずに勝率にこだわり、絶対に損を出さないと決めてしまっています。

含み損に対しても、売却して確定するまでは損ではないと考えます。そのため、株価が一向に上昇に転じる気配のない含み損銘柄をいつまでも保有し続けます。含み損が拡大すると、もう口座を見るのも嫌になってしまうのに、それでも損切りするという発想がありません。こうした現実逃避的な思考パターンから、塩漬け株が生まれます。

5.含み損が拡大すると株を買ったこと自体を忘れようとする

株価が回復するまで株の存在を忘れてしまおうというパターン。いわゆる「気絶投資法」です。同じ気絶投資法でも、上昇している銘柄は良い銘柄なので、その存在を忘れているとさらに上昇して勝てることが多いのですが、含み損が出ている悪い銘柄を放置するのは悪手です。

もちろん、待っていれば本当に株価が回復することもあります。そうやって含み損がようやく消えたタイミングでやれやれと売却すると、その後どんどん上がっていくというのも「あるある」です。「なんで自分が買ったら下がって、売ったら上がるんだ。自分はとことん株には向いてないんだな」とうんざりすることになり、投資そのものをやめてしまう人も出てきます。

6.高値づかみした自分ではなく、その企業や環境が悪いと考える

「この会社は何をやっているんだ」「なんであいつはこんな変な企業の株を勧めたんだ」「有名アカに騙された」などと、含み損を出してしまった責任をほかの何かに転嫁してしまう。これも、株で負け続けている人の典型的な思考パターンです。

こうした傾向の強い人は失敗に学ぶことがなく、頑固に何度でも同じ失敗をしてしまうので、投資をすること自体がかなり危険です。この思考から脱却できない人は、個別株投資をやってはいけないと思います。

7.含み益だったものが含み損になることを極端に悔しがる

投資した銘柄の株価が思惑通りに上昇し、もっと上がることを期待して保有していたら、突然下落に転じて一気に含み損になることがあります。株でうまくいかない人の中には、気持ちの切り替えができずに尋常ではない悔しがり方をする人がいます。

「あのとき、早めに利益確定しておけばよかった」という教訓が頭に強烈に刻み込まれた結果、「利益が出たら早く売らないといけない」という思考になってしまいがちなのです。

こうなると、常に小さな利益で売却することになるので、利益を大きくすることができません。投資で常に勝つことはできないので、気持ちを切り替えることが重要です。

8.損切りするときは、せめて利益確定も一緒にしたいと考える

上昇する根拠のない含み損銘柄を損切りすること自体は、正しい行動です。ただ、一緒に行おうとする別の銘柄の利益確定も正しい投資行動かどうかは別問題です。この先もまだ上昇が期待できる銘柄を売却してしまっては、将来の利益を失ってしまうことになります。

本来、損切りと利益確定は完全に別モノです。損切りの痛みをカバーするために利益確定するのは感情的な売買であり、最適な投資行動ではありません。

9.利益が乗っているものから決済しようとする

利益が乗っている銘柄に対しては、「この利益がなくならないうちに早く確定しておきたい」と考えてしまうのも、トータルでの負けにつながりやすい思考パターンです。その背景には、今は含み益が出ていても、株価がいつ下落に転じて含み損になってしまうかわからない、という不安と恐怖があります。

こうした人ほど、本当に含み損になってしまうと、損切りすることができずに塩漬けにしてしまいます。この思考パターンに沿った投資判断を続けていると、うまくいっても微益しか出せず、うまくいかない場合の損失が大きくなるので、投資をするほど資産は減っていくことになります。

10.利益確定した後の値動きには興味を持たない

上を見ればきりがないのだから納得できる利益を出せればそれでいいじゃないかという考え方も悪くはないのですが、上昇する銘柄の利益をどこまで伸ばせるかがその人の投資パフォーマンスを大きく左右するので、そこはもう少しこだわってほしいところです。

利益確定のタイミングは適切だったか、もっと利を伸ばすことができなかったかを検証し、次に生かせる人のほうが、その後のパフォーマンスを改善できる可能性が高いことは言うまでもありません。

かぶカブキ

元証券マンの個人投資家

※本記事は『決算書3分速読から見つける10倍株ときどき50倍株 2年で資産を17.5倍に増やした元証券マンの投資術』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン