チーズの価値発信へ一丸 嗜好面強く消費量に課題 チーズ普及協議会

チーズ普及協議会の三宅宏和副会長(六甲バター会長)は5月14日に開催した第52回総会で「ようやくコロナも明けてインバウンドもコロナ前の状況に戻りつつある。『チーズフェスタ』はじめ国内のチーズ需要を深掘りし、その魅力をしっかりと広げることで国内チーズ消費量の拡大につなげたい」と市場活性化に意欲を示した。

国内チーズ市場は、2020年からのコロナ禍や2022~23年の海外原料ナチュラルチーズの高騰などで、家庭用および業務用の容量変更含む価格改定に取り組んできた結果、22年度のチーズ消費量が前年比94.7%(33万6千t)と3年連続で足踏みの状況にある。農水省家計調査(1~12月)によれば23年度の購入量は前年比90.7%と大きく落ち込んだ。

一方で、24年2月単月でみると購入量は1.1%増とやや回復基調にあることから、今後も消費の動きを捉えながら、おいしさや栄養に加え、研究発表などで認知が高まる機能性など新たなチーズの価値を発信していくことで、消費拡大につなげる考えだ。

農水省の須永新平課長

須永新平農林水産省畜産局牛乳乳製品課長は懇親会に先立ち「国内でのチーズは嗜好品としての性格が抜けきれず消費量が伸び悩んでいる一方で、全国のチーズ工房の数はここ10年で約2倍、1人当たりの消費量も15年前の1.4倍と拡大している。食生活の中にチーズが溶け込んでいる証しだ」と述べた。その上で、人口減少が進む中では成長する海外市場に販路を求めることも、国内の農林水産業および食品産業の維持発展に必要不可欠との認識を示した。

23年の牛乳乳製品輸出金額は300億円を超え、うちチーズは約20億円。世界的なチーズコンテストで多くの国産チーズが入賞するなど、日本のチーズの評価が世界で高まっていることから「将来的にはウイスキーのように高価格で取引されるチーズをぜひ実現していただきたく、そのために種をしっかりとまいて育てていくことが大切。農水省としては製造技術の向上や需要拡大に向けた取り組みを推進していく。酪農から消費までの川上から川下をチーズがつなぎ、チーズの食文化が一層広がる将来像を描きながら、ともに歩んでいきたい」などとし、関係各所に協調を呼びかけた。

なお、役員改選では佐藤雅俊会長(雪印メグミルク社長)を再任した。

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