テレビ朝日とフジテレビの新役員人事で見えてくる――米倉涼子とハライチ&青井実アナの「今後」

米倉涼子、澤部佑(ハライチ)(C)ピンズバNEWS

テレビ各局の人事異動の話題が今、大いに話題になっている。

日本テレビの水卜麻美アナウンサー(37)は異例とも言えるスピード出世を果たすことになる。これまでは一般社員の「主任」として勤務していたが、6月1日付の人事で新設される管理職の役職「チーフスペシャリスト」に就任することが明らかになった。

スペシャリスト職は「専門性の高いスキルを有し、会社の業績向上や経営目標達成に貢献できる者」と規定され、すでに管理職を務めている40~50代の先輩アナウンサー2人の「リードスペシャリスト」より1つ上の等級に抜擢された。

TBSグループの中心・TBSホールディングスは5月14日、代表取締役の異動と役員人事を発表。執行役員の阿部龍二郎氏(60)が6月27日付でTBSホールディングスの代表取締役に就任することも明らかになった。

制作会社関係者は話す。

「水卜アナの“チーフスペシャリスト”というのは、スペシャリスト職の中でも上から3番目の特別な役職で、局内にもほとんどいない。相当な高評価であることがうかがえます。それも大功労者のミトちゃんなら納得で、役員昇格も本気で見えてきた、ともっぱらですね。

TBSホールディングスのトップに就く阿部氏は『中居正広の金曜日のスマたちへ』及び『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)のプロデューサーを務めた人物で、中居正広さん(51)とは地元も神奈川県藤沢市と同郷で盟友です。阿部氏の出世を中居さんも喜んでいるのではないでしょうか」

日本テレビとTBSに続き、テレビ朝日とフジテレビの人事も動いている。

「テレビ各局で退任する役員もいるなか、今度の人事でもテレ朝の内山聖子氏(59)は取締役に名を連ねています」(前同)

内山氏は1988年にテレビ朝日入社。当初は秘書室に配属されるが、1993年から制作ドラマ部へ異動。その後はプロデューサーとしてさまざまなドラマに携わり、ゼネラルプロデューサーとして『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)シリーズなどを手掛けたことで知られる。

その実績を買われてだろう、2020年6月の人事で役員待遇に昇進。2022年6月の人事で取締役(ビジネスソリューション本部スペシャルプロモーション担当)に就任している。

■『ドクターX』シリーズ終了でも米倉涼子は“安泰”か

前出の制作会社関係者が続ける。

「先の人事でも変わらず取締役ですから、引き続き出世ルートを邁進中といったところでしょう。内山氏の代表作といえば何と言っても『ドクターX』です。

主演の米倉涼子さん(48)演じる大門未知子の“私、失敗しないので”のセリフは流行語になり、シリーズの世帯視聴率は20%超えは当たり前で30%に迫る数字を記録したこともありました」

ドラマは2012年10月クールにスタートし、2021年10月クールに第7シーズンを放送。今年冬公開予定の映画でフィナーレを迎え、公開前に映画へとつながるスペシャルドラマが放送されるとも報じられている。

しかし、主演の米倉には体調面での不安もあった。

米倉は2019年に頭痛やめまいを引き起こす「低髄液圧症候群」を発症。2022年には「急性腰痛症及び仙腸関節障害による運動機能障害」になり、アメリカ・ニューヨークで上演予定だった主演ミュージカル『シカゴ』を降板している。

「米倉さんの体調面を考慮し、映画のスケジュールが大幅に変更になったという報道もありました。ただ、米倉さんは4月4日に『第2回横浜国際映画祭』にアンバサダーとして出席。“だいぶ元気になった”と笑顔で話していましたから、映画『ドクターX』も公開に向けて順調に動いているのではないでしょうか。

内山氏は米倉さんのことを“ヨネ”と呼び、プライベートで一緒に旅行に行くほどの仲。そんな内山さんは、テレ朝内でバリバリの出世コースに乗っていると。『ドクターX』がフィナーレを迎えたとしても、2人の深い関係性を考えると、これからも同局では米倉さん主演の作品が制作されていくでしょう。体調面から、もしかしたら撮影が長期間かかる連ドラは難しいのかもしれませんが、米倉さんの今後は安泰だと思われますね」(前同)

フジテレビでは大多亮専務取締役(65)の関西テレビ社長就任が内定したという。6月の取締役会で正式決定する。

大多氏は1981年にフジテレビに入社。プロデューサーとして『東京ラブストーリー』、『101回目のプロポーズ』、『愛という名のもとに』、『ひとつ屋根の下』などの大ヒットドラマを世に送り出した。

広告代理店関係者が話す。

「大多氏は2022年6月の役員人事で専務取締役に、そして今度は関西テレビ社長就任となります。伝説の名プロデューサーとして名を馳せた大多氏の今回の人事に対してはいろいろな評価があるといいますが、大多氏は近年、フジテレビの幹部としてさまざまなキャスティングに関与してきたと言われています。そんな大多氏がフジテレビから離れるのは、やはり大きいといいますね。

つまり、“後ろ盾”を失う人も出てくると言われていますね……」

■上が変われば事情も変わる……

フジテレビは現在、絶不調にあるとされる。主要民放キー局のフジテレビがテレビ東京に後塵を拝し、テレビ界に衝撃が走ったことも記憶に新しい。

テレビ東京は今年1月クール(1月1日~3月31日)の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)のゴールデン帯(19時~22時)で、開局以来初の最下位脱出を果たした一方、フジテレビが最下位へと転落したのだ。

「現在は、世帯視聴率よりも個人視聴率の時代、特に13歳から49歳までの若年層のコア視聴率が重視されますが、かつてずっと視聴率三冠を取っていたフジテレビが、世帯と言えどもテレ東に負けるとは、やはり驚きですよね。

そんななか、キャスティングにおいて影響力を誇っていた大多氏がフジを去ると。編成局長だったTさんは6月人事で執行役員になりますが、それでも大多氏がいなくなるなか、数字が深刻低迷している番組はそのままではいられないと言われていますね。

近年、フジで重用されているタレントといえばハライチの岩井勇気さん(37)と澤部佑さん(37)。そして、彼らの番組は、数字的には決して好調とは言えないんですよね」(前出の広告代理店関係者)

ハライチは2023年1月よりフジテレビ昼のバラエティ番組『ぽかぽか』のMCを担当。同年10月にはオードリーとの冠番組『オドオド×ハラハラ』もスタートした。しかし、

「『ぽかぽか』の視聴率は同時間帯の主要キー局最下位が当たり前になっています。たとえば5月17日は世帯視聴率1.7%、個人視聴率0.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と開始時から変わらない超低空飛行。『オドオド×ハラハラ』も5月16日放送回がコア視聴率2.0%とかなりパッとしない。

ハライチとフジテレビは、どんなに視聴率が低くてもすぐに『ぽかぽか』を終わらせることはない、という契約を結んでいるとされますが、契約終了の時期がきたら有無を言わさず打ち切りになる、ということも十分に考えられます。それくらい厳しい数字ですね」(前同)

2月にNHKを退局し、4月からフジテレビ夕方のニュース番組『Live News イット!』のMCに就任した青井実(43)も安泰ではなさそうだ。

「同時間帯の視聴率1位は『news every.』(日本テレビ系)、『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日)と『Nスタ』(TBS系)が2位タイで日テレに肉迫しつつありますが、『イット!』は常に最下位で蚊帳の外でした。

青井アナが加入してからも数字は改善することなく、状況は変わっていません。彼のMC起用を巡って、現場からは反対意見が出たものの上層部が強行したとも聞こえてきていますね。

そして、担当番組の調子が全く上がらないハライチと青井アナを推してきたと見られている大多氏が関西テレビに行ってしまうと。帯番組は少々数字が良くなくても数年間続けることが一般的ですが、上が変われば事情も変わるのがテレビ界です。ハライチも青井アナも、早いタイミングで結果が出なければ、立場が厳しくなってくるのは間違いなさそうです」(同)

どこの世界でも後ろ盾の存在、影響力は大きいもの。安泰と言われる米倉、ピンチがささやかれるハライチと青井、彼らの今後に注目が集まる。

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