「日本手話」訴訟で請求棄却 札幌地裁、ろう学校での使用巡り

判決後、記者会見する女子生徒の両親(手前の2人)ら=24日午前、札幌市

 北海道札幌ろう学校で担任が手話の一つ「日本手話」に堪能でないため意思疎通を図れず、学習する権利を侵害されたとして、男子児童と女子生徒の2人が道に計1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁(守山修生裁判長)は24日、請求を棄却した。

 日本手話は日本語の語順に沿って単語を置き換える「日本語対応手話」と違い、手指に加え目や眉の動きを使って細やかに表現し、主に先天性難聴の人が使用する。

 守山裁判長は判決理由で「日本手話以外の手段も用いて授業をすることは不合理な差別に当たらない。特定の言語で授業を求めることまでが個人の人格の重要な要素とは言えない」と述べた。

 中学2年の女子生徒の両親は判決後、「とても残念。第一言語で学ぶ難しさを感じる判決だった」と話した。生徒は現在、別の学校に通っている。

 判決によると、男子児童と生徒はろう学校小学部の日本手話で学べるクラスに在籍していたが、22年4月、日本手話が堪能でない教諭が担任となった。

 原告側は、授業が理解できず学校を休みがちになったと訴えていた。

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