バイクが突然100mの距離をワープしてトラックと衝突!? 事故の真相を見事に解明した“証言の矛盾点”とは

お笑いコンビ・タイムマシーン3号の山本浩司と関太、俳優の嵐莉菜が、5月23日放送の『THE突破ファイル 危ない奴らを撃退2時間SP』の再現VTRに出演。わずかな物証から交通事故の真相を導く“交通事故鑑定人”の活躍を描いた。

弁護士の山本とパラリーガル(弁護士補佐官)の嵐が依頼人の石田さんを連れて“交通事故鑑定人”である関の事務所を訪れた。夜間に見通しの良い交差点に向けて石田さんがバイクで走行中、対向車線を走ってきたトラックが突然右折してきたため衝突し、全治2週間のけがをしてしまったのだという。しかし「トラック運転手がめちゃくちゃな証言をしてまして…」という山本。運転手は右折しようとしたとき、バイクが100mほど遠くにいると目視しており、そのため十分曲がれる距離だと判断し右折したところ、約3秒後にバイクと衝突してしまった、と証言していたのだ。3秒で100mを移動するには時速108km以上で走らないと無理。法定速度の倍以上で現実味は薄いが、実際に時速100kmを超えるスピードによって起こった事故もあるため、「論理的に否定できないとしたら、その証言が採用される可能性も十分ありえます」と関は語る。

法定速度は絶対に守っていたという依頼人の言葉を信じ、関たちはひとまず事故現場を調べることに。しかし、注意深く調べてみたものの現場には事故の痕跡などは残されていなかった。だが、バイクの転倒場所を確認した関は「1つハッキリしたことがあります」という。100m先から3秒後に衝突した場合、想定時速は120kmを超えることになる。仮に時速100キロでトラックに衝突した場合、バイクはその場でペシャンコになってしまうが、実際にはトラックにぶつかったバイクは2mほどはね返り転倒していた。この時点でトラック側の証言に矛盾が生じることとなる。

さらに関は事故に遭ったバイクが保管されている整備工場に向かい、バイクの損傷具合やライトが2灯式であること、さらに“ジャックナイフ現象”(急ブレーキをかけた際に前輪がロックされ、勢いで後輪が持ち上がってしまう現象)によって座席後部に損傷が見られたことを確認した。

そして関と山本、嵐の3人は相手側の話を聞くためトラック運転手を訪ねることに。「俺は被害者なんだよ!」という運転手をなだめつつ事故当時の話を聞いたところ、「100mぐらい先に、2つの明かりをちゃんと確認したの。で、十分曲がれる距離だと思ったの」という証言を得た。しかし、これも決定的な証拠とはなり得ない。

関は事故の状況や証言などを必死で思い返し、頭を悩ませた末に一つの結論に達した。そして事故が起きたのと同じ夜の時間に、当事者たちに集まってもらった。

「100mぐらい遠くに2つの明かりを確認した」という証言を再確認する関に対し「そいつについては絶対に間違いねぇ!」と断言するトラック運転手。すると関は事故車両と同じ形式のバイクを出し、嵐にバイクで100m先まで移動するよう指示を出した。150m以上先から2灯式のライトを点灯させ、関たちがいる方へと近づいてくるバイク。しかし、2灯式なのにバイクからは1つの光しか見えない。30mぐらいまで接近したところでようやく2つの光を確認できた当事者たち。

関は「今見てもらった通り、2灯式バイクは100mも離れていると、1つの明かりにしか見えないんです」と説明し、トラック運転手に対し「すぐ近くに迫るバイクの2つのライトをさらっと目視し、その大きさから“遠くを走る自動車”だと誤認したんです」と真相を告げた。さらにバイクのタイヤには急ブレーキなどでタイヤの一部が摩擦で削られてできる“フラットスポット”と呼ばれる部分が見当たらず、道路にもブレーキ痕が残っていなかったと説明。バイクは急ブレーキをかけておらず、トラック運転手が主張する衝突直前の減速もあり得ないことが証明された。がっくりとひざから崩れ落ちた運転手は、事故の過失の95%を負うこととなった。事故相手の証言が一番の決め手となったのだ。

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写真提供:(C)日テレ

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