これぞロマン! 不思議だったけど子どもながらにワクワクした「機械キャラの体内構造」

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ロボットやアンドロイド、さらには改造手術を受け機械の体になった者など、漫画やアニメにはいわゆる“機械キャラ”が多く登場する。子どもながらに機械の体はめちゃくちゃカッコよく見え、見開きや雑誌等で体内構造が紹介されれば、その不思議なパーツと解説にワクワクしたものだ。

そこで今回は、作中の描写やかつて紹介された解剖図を参考に、機械キャラの体内構造について紹介したい。

■らせん状の階段が体内に…『キン肉マン』ウォーズマン

今年7月から新アニメ『完璧超人始祖編』がテレビ放送されることが決まり、再び盛り上がりを見せている『キン肉マン』ゆでたまご(原作:嶋田隆司さん、作画:中井義則さん)。たくさんの機械キャラが登場する本作だが、その代表はウォーズマンだろう。

“ファイティングコンピューター”の異名を持つロボ超人のウォーズマンは、その身体の半分はロボットでできており、たくさんの機械やコンピュータが組み込まれている。普段は黒いマスクで隠しているが、その下には“単眼”が目立つ機械の顔だ。「コーホー コーホー」という呼吸音とその機械剥き出しの素顔は恐ろしくも、子どもたちをワクワクさせた。

「黄金のマスク編」では、キン肉マンを助けるために自らを犠牲にしたことで仮死状態となってしまったウォーズマン。その隙にアシュラマンやザ・ニンジャなど悪魔騎士たちに体内へ侵入されてしまい、ウォーズマンの体そのものが戦いの舞台となった。

そこで描かれたウォーズマンの体内の様子は、無数のコンピューターやランプで覆われており、まさに機械の要塞のようだった。とくに目を引いたのが、テリーマン曰く「心臓と脳につながっている」“らせん状の階段”だ。しかしすぐに悪魔騎士たちに崩され、その後説明もなかったため、なぜこのような階段がウォーズマンの体にあったのか不明だ。

そして、キン肉マンら正義超人と悪魔騎士が激しいバトルを繰り広げた“五重のリング”。これももともとあったものなのか、それとも侵入した悪魔騎士が即席で作ったものなのかは不明となっている。さらには、この戦いを体外に投影できる目の“プロジェクター機能”など、なぜウォーズマンの体にそんなパーツや機能があるのか考え出すとキリがないものばかり。

だが、本作の場合はこの突拍子のなさも大きな魅力であることは間違いない。“ありのまま”を楽しんでしまったほうがいいのだ。

■奥歯の内側にスイッチが…『サイボーグ009』島村ジョー

石ノ森章太郎さんのSF漫画『サイボーグ009』にも多くの機械キャラが登場する。

そのなかの一人、主人公の009こと島村ジョーは、ブラック・ゴーストにより改造手術を受け、体の大部分が機械の体となったゼロゼロナンバーのサイボーグである。

百人力のパワーを出す“人工筋肉”に、ゴムより弾力があり鋼鉄より強い“人工皮膚”、耳は“人工聴覚器”となっており、その奥にある“無線通信器”で離れたゼロゼロナンバーとも通信可能だ。

子どもながらにもっともワクワクしたのが、本作の代名詞で009最大の武器である“加速装置”だ。奥歯の内側にスイッチがあり、それを稼働させることで超加速することができる。

シリーズによって009の速さは異なるが、2001年に放送された『サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER』では、なんと最大マッハ5となっていた。第3話「閃光の暗殺者」第4話「死闘の果てに」では、同等の加速能力を持つ兄プラスと弟マイナスの双子サイボーグ0010が現れるのだが、その超高速バトルは非常にアツい。

■ただの機械じゃない…『Dr.スランプ』アラレちゃん

最後は、鳥山明さん『Dr.スランプ』から、主人公・則巻アラレの体内構造を紹介したい。

アラレは、則巻千兵衛により作られた少女型アンドロイド。可愛い少女の“頭部”が数本のコードだけで胴体とつながっている姿は、漫画第1話「アラレ誕生!の巻」で披露されており、インパクト大の登場だった。

ご存じアラレは桁違いのパワーを持っており、殴れば地球や月を簡単に破壊できる“手”、走行速度マッハ1.5の“足”、そして、お尻には“排ガス除去装置”が付いておりそれを外しオナラで空も飛ぶことができる。

口のなかには“んちゃ砲”が付いており、作中何度も必殺の凝縮エネルギー弾を発射していた。こんな無敵のアラレだが、“目”は千兵衛の設計ミスにより強度の近視。しかし、このメガネ姿もチャームポイントの一つだ。

そしてこのアラレの体内構造は、コミックス13巻、X線を搭載したスパイロボットによりスキャンされ、まったく同じ構造を持ったキャラメルマン4号ことオボッチャマンがDr.マシリトによって作られている。よってオボッチャマンはアラレと同性能、マシリト曰く上品なぶんだけオボッチャマンのほうが強いとのことだ。

ちなみに、燃料切れで停止したオボッチャマンに“ロボビタンA”を届けようと、アラレはそれまでの最高速度マッハ1.5を超えて走る場面もあった。いつもニコニコしてフルパワーに見えるアラレだが、友達のピンチにはスペック以上の能力を発揮するようで、それもただの機械じゃないアラレ特有の魅力だと言えるだろう。

今回は、漫画やアニメに登場する機械キャラの体内構造について紹介してきた。機械キャラは子どものころの自分にとっては本当にカッコよく映り、その活躍と機械の体にワクワクさせられた。大人になってあらためて確認してみると、「なぜそんなパーツが!?」と不思議に思うところも正直あったが、それも含めて機械キャラはやはりロマンの塊なのだ。

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