財布を忘れた友人に、ランチ代「1000円」貸したら返ってこない! それとなく聞いても相手がしらばっくれて話にならないのですが、お金は返してもらえるでしょうか? 少額ですし諦めるべきですか…?

個人間でやり取りした金銭は返ってこない可能性が高い

結論から述べると、友人間で少額のお金のやり取りをした場合、お金を強制的に回収することは難しいです。日本の刑法には現在、貸したお金を返さない行為を罰する法律は存在しません。厳密には、民事上の債務不履行で相手に責任を追及することはできます。

しかし、個人間の金銭の貸し借りの場合、金額が少額かつ口頭のやり取りが多いため、裁判まで発展する、発展させられるケースはほとんどありません。

一方で、最初から返さないつもりでお金を借りたと判断された場合、詐欺罪が成立する可能性もあります。

相手が返金に応じない場合の対処法

法的な手段でお金を回収するのが困難でも、お金を諦められない人がほとんどでしょう。どうしてもお金を回収したい場合は、以下の方法を試してください。

LINEやメールで連絡する

相手に返金を促す際は、LINEやメールなどを活用しましょう。文面による連絡は伝達漏れが発生しにくい、いざというときにお金を貸した証拠として使えるなどのメリットがあります。

自分の考えをまとめるのが苦手な人や、どうしても感情的な文面になってしまう人は、第三者に文章を考えてもらうのがおすすめです。

電話や対面で話をする

相手との関係によっては、LINEやメールではなく、電話や対面で話したほうがスムーズに返金してもらえる場合があります。電話や対面で話すことで、相手にこちらの温度感や緊急性の高さを伝えられますが、事態を悪化させる可能性もあるため、事前に話す内容を考えておきましょう。

内容証明郵便を送る

相手に返金の意思がなく、かつ手口が悪質だと判断した場合は、内容証明郵便を送りましょう。内容証明郵便とは、差出人がいつ、誰に、どのような内容の文章を送ったのか、謄本を作成して証明する方法です。

内容証明郵便を送ることで、こちらの本気度を相手に伝えられるほか、返金を要求したという証拠も作れます。

お金を回収する際にしてはいけない行為

お金を返してもらうにあたって、方法を間違えると請求する側の立場を危うくする可能性があります。具体的には、以下のような行為をしないようにしてください。

SNSで拡散する

お金のやり取りに関する情報を、SNSで拡散するのは絶対にやめましょう。状況によっては刑法第230条の名誉毀損に該当し、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金に処されます。

ちなみに相手の親族や友人、職場に連絡した場合も、同じく名誉毀損に該当する可能性が高いです。

強い言葉を使用して返済を迫る

強い言葉で返済を迫るのも、請求する側の立場を危うくするNG行為です。刑法222条の脅迫罪が成立し、2年以下の懲役、または30万円以下の罰金に処される可能性があります。
語気が荒くなる気持ちはわかりますが、親しい間柄であっても、言葉遣いに注意しましょう。

お金のトラブルは人間関係に小さくない影響を与える

個人間でやり取りをした少額のお金は、残念ながら書面で証拠を残していない限り、返金の意思のない人から取り戻すのは困難です。また、返金を依頼する方法を間違えると、こちらの立場を悪くしかねません。

金銭トラブルは、たとえ少額でも人間関係に歪みをもたらします。友人と健全な関係を続けたい場合は、お金の貸し借りをしないと最初から決めたほうがよいかもしれません。

出典

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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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