声優・アーティストの大渕野々花に聞くデビューシングルへの想いとデビュー秘話‐決心をしたのは就活で「本当にこの仕事でいいの?」と言われたから

By TV LIFE

大渕野々花

2022年に開催されたフライングドッグ主催オーディション「犬コン!」で特別賞を受賞した大渕野々花。ゲーム『Project:;COLD 2.0 ALTÆR CARNIVAL』花崎薫役を務め声優デビュー、そして2024年5月22日(水)にデビューシングル「朱く染めて心臓」を引っ提げてアーティストとしての活動もスタートする。今回はアーティストデビューを控えた彼女にインタビュー。「犬コン!」を受けたきっかけや、演技・音楽にかける想いについてお聞きました。

就活で「本当にこの仕事でいいの?」と言われて

◆今回はデビューシングルのことに加えて、大渕さんが声優・アーティストを目指したきっかけや、音楽遍歴などについてお聞きできればと思っています。

よろしくお願いします!

◆大渕さんは2022年に開催されたオーディション「犬コン!」を経て、声優・アーティストデビューをされました。もともと、声優やアーティストにはなりたかったのですか?

はい。小さい頃から声優になりたいと思っていました。何より私は演技・歌が大好きで。私にとって演技と歌は、ずっとやっていたいと思えるものなんです。仮に仕事としてではなくても、とにかく続けていきたいと考えていました。実際に大学生の頃は、仕事は別の道もあるのではと思い、アナウンサーになることを目指して就職活動をしていたんです。

◆そうだったんですね。

ただ就活をしているときに、「本当にこの仕事でいいの?」と面接で何度か聞かれることがあったんです。その場では「もちろんです!」と答えていましたが、その言葉がずっと自分の頭の中から離れなくて。それで、改めて自分の気持ちを整理していくなかで、やっぱりお芝居と歌は続けていきたいし、仕事としてそういう場に身を置くことが、最も長く続ける方法になるとも思ったんです。そんなときに、「犬コン!」の募集が目に留まって。「これしかない!」と思い、オーディションを受けることにしました。

◆面接官の方は、その気持ちを見抜いていたのかもしれないですね。

自分のなかでは、どれだけ御社に入りたいのかということを語っていたつもりだったのですが(笑)。でも、見抜かれていたみたいです。もしかしたら面接を受けるみんなに同じ質問をしていたかもしれませんが、私はあの一言があったから、オーディションを受ける決心がつきました。本当に感謝しています。

大渕野々花

◆演技が好きというお話でしたが、役者のなかでも声優になりたいと思ったのには、何か理由があったのですか?

10歳の頃に子役の事務所に入ったんですが、そこでは定期的に演技のレッスンもあって。レッスンを重ねていくうちに「演技って楽しい!」と感じるようになったんです。同時に、アニメ・漫画ブームが自分のなかでやってきて自然と、声優という仕事に興味を持ち始めました。

◆なるほど。

加えて、これは少し後ろ向きなお話になってしまうのですが……。私、身長が低いんですね。だから、映像系のお仕事だと役の幅が狭まってしまう気がして。声優は見た目にとらわれずに役を演じられる可能性もあるじゃないですか。アニメや漫画が大好きということも相まって、役の幅が狭められない可能性を感じて、声優の道に進みたいと思うようになりました。

◆歌や音楽も、小さい頃から好きだった?

大好きでした。父の車のなかで一青窈さんの曲がずっと流れていたんです。当時はどういう歌の内容なのか分かっていないまま、ずっと歌っていました。特に井上陽水さんが作曲されている一青窈さんの曲が好きでしたね。その後、テレビ番組の懐メロ特集で流れる山口百恵さんや中森明菜さんの曲もいいなと思うようになって。クラシックも好きでしたね。

◆同世代の子たちが聞いているような曲はあまり聞かなかった?

小学生の頃、朝の会で歌を絶対に歌う時間があったんです! 音楽係が歌う曲を決める権限を持っていて、流行りの曲がたくさん選ばれました。当時はみんな嵐さんが好きで、朝の会でも月替わりで嵐さんの曲を歌っていた記憶があります(笑)。あとは、子役事務所のレッスンで課題曲になっていた、いきものがかりさんの曲もすごく好きでした。小学生の高学年になってからは、ボカロ(ボーカロイド)にもハマりましたね! デビュー曲を作ってくださったNeruさんの曲も狂ったように聞いていました(笑)。

◆いろいろな音楽を聞いて育ってきたんですね!

はい! 高校生の頃にはバンドにハマって、時間の許す限りライブに一人で行っていました。当時からクリープハイプさんや04 Limited Sazabysさん、銀杏BOYZさんなどが好きですね。大学生になってからは、藤井風さんや小林私さんの曲を聞くようになりました。K-POPも聞いています。もう、自分でもこのジャンルが好きというのが絞り切れません(笑)。

大渕野々花

◆歌うのも好きでしたか?

歌が好きだと気づいたのは、それこそ子役事務所に入ってからですね。レッスンのときに褒められるのがうれしかったですし、レッスンで苦手がっている子を見て「私は歌うこと、別に嫌いじゃないぞ?」と思うようになって。それで気づいたという感じです。でもさかのぼってみたら、一青窈さんの曲も小さい頃から歌っていましたし、ずっと好きだったんでしょうね。

◆音楽に関する習い事はやっていましたか?

4歳からピアノを習い始めて、10歳で挫折しました(笑)。「ここで壁にぶち当たる人は多いけど、あと1年ぐらいやったら、きっとできるようになるよ」とも言われたのですが、その分得意なことを伸ばしたほうがいいかもと思ってしまって…。

◆なるほど。でも、お芝居も歌も好きだったなら、声優・アーティストどちらの活動もバックアップしてくれる「犬コン!」はまさに大渕さんが求めていたものだったのかもしれないですね。

そうですね! 自分の性格や経験的にも、芝居・歌どちらかだけではなく、両方が評価軸というのはありがたかったです。

◆オーディションは緊張しましたか?

子役時代からオーディションはありましたし、芸能活動をやっていくなかで審査されるということは日常化していたので、そこまで抵抗や緊張はなかったかもしれないです。やりたいことがあってそのために必要なら、オーディションでも何でも受けます! という気持ちでしたね。

大渕野々花

デビュー曲は「Neruさん節によるいろいろな曲調のフルコース」

◆そうして小さい頃からの夢を自らの手でつかんだ大渕さん。5月22日にはデビューシングル「朱く染めて心臓」がリリースされます。

先ほどもお話しましたが、「朱く染めて心臓」は私が小学生の頃から聞いていたNeruさんに作詞・作編曲をしていただいた曲なんですよ! もう随所にNeruさんを感じられて、最初に聞いたとき、すごく感動しました。私個人としてもとても好きな曲調の楽曲で、テンションも上がりました。

◆TVアニメ『怪異と乙女と神隠し』のエンディング主題歌でもある本作。改めて、どのような楽曲になっているのか教えてください。

サビはこれぞNeruさんというロックチューンでありながら、スカ(Ska)要素や昭和歌謡のようなメロディだったり、いろいろな曲調のフルコースをNeruさんならではの視点で詰め込んでいただいた、みたいな曲ですね! 歌詞はTVアニメ『怪異と乙女と神隠し』に寄り添いながらも、報われない恋の歌としても聞くことができるんです。いろいろな楽しみ方ができて、誰かの「好き」に引っ掛かる曲に仕上がっていると思います。

◆実際にレコーディングしてみて、どうでしたか?

ソロとしてのレコーディングは初めてで。緩急などを含めて、ぜんぶ自身の歌で構成していかないといけないんですよね。私の先入観や歌い癖で取り組んでしまうと、曲の印象がガラリと変わってしまうので。実際、最初は歌謡曲感に引っ張られて、大人っぽく歌ってしまったんですが、「もう少し少女らしさが欲しい」というディレクションがありまして。その場で試行錯誤しながら、今の形になっていきました。

◆アニメの放送もスタートしています。実際にご覧になってみた感想を教えてください。

漫画とは違った、アニメならではの視覚的・聴覚的な表現や効果が散りばめられていることに感動しました。漫画って能動的に自分のペースで読み進めることができるじゃないですか。だから、めくるドキドキがあるんですよね。一方でアニメなどの映像作品だと受動的にハラハラ感を浴びせられて、ぞわっとする。アニメ化されたことによって能動的にも受動的にも本作を楽しめるようになったのが、うれしくてたまらないですね。

◆EDで自身の曲が流れたときは、どんなお気持ちでしたか?

最初はあまりにも現実味がなくて、他人事でした。流れてもなお、実感がなかったんです。それくらい自分にとって夢のような出来事で……。徐々にその幸せ、喜びをかみ締めています。

大渕野々花

◆デビューシングルには他にもいくつかの楽曲が収録されています。そのひとつが「夢.jpeg」。

「夢.jpeg」は小林私さんに作詞・作曲、sugarbeansさんに編曲いただいた曲です。実は私、お二人の楽曲が大好きで。それをプロデューサーさんにお話したら、このような形で曲を作っていただけることになりました。本当にありがたい限りです。とてもジャジーで、セッション感あふれるサウンドになっています。クレジットからどういう楽器が使われているのか拾い上げていただき、セッションしている様子を思い描きながら聞いてもらえたらうれしいですね。歌詞は小林さんワールド全開。小林さんとは制作前に一度ご挨拶を兼ねて打ち合わせをさせていただきまして、私の好みのソングライティングをヒアリングして書いてくださったので、すごく馴染みます。

◆デビューシングルの直筆サイン入り限定盤にはもう一曲「終わらないストーリー」が収録されています。

この曲は「犬コン!」のNExTアーティスト部門で特別賞を受賞したイナツさんに作っていただきました。私のこれまで、そして今を描いた楽曲です。サウンドはイナツさんが得意としているであろうパンキッシュで、力強いドラムが印象的です。そこに繊細できらびやかなストリングスが加わることで、少し切なさも感じられるんですよね。まさに「犬コン!」を受けているときの私の気持ちにぴったりな曲に仕上がっています。

◆一方のアニメ通常盤には、「一生分の星と逃げる」が収録されています。

作詞・作曲は傘村トータさん、編曲は堀江晶太さんと、とんでもない布陣で作っていただいた曲です。夜空って、吸い込まれるような濃淡がすごく重たくも美しいという印象があって。ただ、星々が輝くきれいな星空として捉えると、キラキラで軽やかという印象になるんですよね。丁寧に扱うべき重たい感情の歌詞と、サウンドのきらびやかさが両立するこの曲は、まさに夜空の二面性が出ている曲だなと思っています。澄んだ音の曲なので、都会で聞いたとしても、その場が瞬時にきれいな高原になるんじゃないかな!

大渕野々花

◆各楽曲の紹介ありがとうございました。まだデビューしたばかりではありますが、今後はどういう活動をしていきたいですか?

いただけるものは幅広く何でもやっていきたいです。今回のシングルでいろいろな方向性の曲を歌わせていただきましたが、歌うたびに新たな自分と出会いました。自分の想像の至らないことって、まだまだたくさんあると実感したんです。だから、役者としてもアーティストとしても、自分がやりたいことを決めるのではなく、いただいたお話を素直に取り組んでいきたいですね。アーティストとしては、フェスみたいな、初めましての方が多い場所でライブをしてみたいです。自分の力がいろいろと試される場所に赴いてみたい。なんか、戦闘民族みたいですね(笑)。

◆フェスは戦いだとおっしゃっているアーティストの方もいらっしゃいます。

私もバンドマンの方が言っているのを聞いたことがあります! それを聞いて育ったので、同じような場所に立ってみたいという気持ちがあるのかもしれません。

◆本日は貴重なお話ありがとうございました。最後にお聞きします。大渕さんにとって演技・音楽とは?

自分と向き合う場所……というより、向き合わされる場所ですかね。やればやるほど、自分でもよく分かっていなかった自分を発見するんです。演技と音楽のおかげで、自分が浮き彫りになったり、変わっていくところもあったり。気づかされることばかりです。安らげる場所のはずだけれども、気が抜けない場所でもあって。家のようでもあり、戦場のようでもある。今の私にとっては演技と音楽は、自分と向き合わされる場所ですね。

PROFILE

大渕野々花

大渕野々花
●おおぶち・ののか…3月13日生まれ。埼玉県出身。A型。身長147cm。小学校から高校時代にかけてドラマやバラエティに出演し、歌唱オーディション番組でも入賞を経験。大学時代には舞台への出演や、ABEMA・BS 朝日で学生キャスターを務めるなど、マルチな才能を発揮する。2022年にフライングドッグ主催オーディション「犬コン!」で特別賞を受賞し、声優・歌手としての活動をスタート。2024年4月放送のTVアニメ『怪異と乙女と神隠し』にてエンディング主題歌を担当する。

●photo/YOSHIHITO_SASAKI text/M.TOKU

リリースイベント情報

2024年5月25日(土)14:00~
内容:1時間店長(「名刺」お渡し会)
【東京】AKIHABARAゲーマーズ本店 (5F店内スペース)
https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/-/News/A028551/13.html

2024年5月25日(土)17:00~
内容:推し撮り会(チェキ撮影会)
【東京】アニメイト秋葉原1号館 (7Fイベントスペース)
https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/-/News/A028551/14.html

2024年6月3日(月)19:00~
内容:ミニライブ&特典「ポスター」お渡し会 ※ランダムで直筆サイン入り
【東京】タワーレコード新宿店(9Fイベントスペース)
★直筆サイン入り限定盤をお買い上げの方は、商品フォトブックにお名前をお入れします!
https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/-/News/A028551/15.html

リリース情報

Debut Single「朱く染めて心臓」(左から:直筆サイン入り限定盤、アニメ通常盤)

Debut Single「朱く染めて心臓」
2024年5月22日(水)リリース

■直筆サイン入り限定盤(1CD+フォトブック)
価格:2,750円(税込)
トラックリスト:
01.朱く染めて心臓
02.夢.jpeg
03.終わらないストーリー
04.朱く染めて心臓(Instrumental)
05.夢.jpeg(Instrumental)
06.終わらないストーリー(Instrumental)
<直筆サイン入り限定盤特典>
大渕野々花が1冊1冊手書きした直筆サイン入りフォトブック「ののさんぽ」同梱

■アニメ通常盤(1CD)
価格:1,430円(税込)
トラックリスト:
01.朱く染めて心臓
02.夢.jpeg
03.一生分の星と逃げる
04.朱く染めて心臓(TV Size ver.)
05.一生分の星と逃げる(Instrumental)
<アニメ通常盤特典>
TVアニメ『怪異と乙女と神隠し』×大渕野々花コラボイラストジャケット

WEB

大渕野々花オフィシャルサイト:https://e-stonemusic.com/nonoka
デビューシングル「朱く染めて心臓」特設サイト:https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/nonoka/debut_single/
オフィシャルX:https://twitter.com/tiny_WildFlor
オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/tiny_wildflor/
オフィシャルYouTube:https://www.youtube.com/@obuchinonoka

© 株式会社ワン・パブリッシング