VNL初スタメンで勝利に導いた小川智大 多くの学生たちもプレーのお手本に

バレーボールネーションズリーグ(VNL)2024男子予選ラウンド第1週リオデジャネイロ大会の3日目、日本(FIVBランキング4位)は、現地5月23日(木)にセルビア(同9位)と対戦し3-0で勝利した。前日のアルゼンチン戦からスタメンを替え、アウトサイドヒッターに大塚達宣(パナソニックパンサーズ)、そしてリベロには小川智大(公益財団法人日本バレーボール協会)を起用。日本代表では出場機会が少ない小川だが、多くの学生たちの見本になっている

小川智大©FIVB

レシーブだけでなく

トスも魅力

巡ってきたチャンスで、いきなり小川が魅せた。今大会初スタメンとなったセルビア戦のファーストプレー。甲斐優斗のサーブレシーブが乱れ、ボールは小川の元へ。レフト方向に体を向けながら、オーバーハンドトスで選択したのはライトにいる西田有志だ。2枚のブロックに阻まれたが、らしさあふれるプレーだった。

日本代表では山本智大がスタメンで出る機会が多いが、小川も世界に誇るリベロの一人だ。2020-21シーズンに日本記録を樹立(成功率73.2%)するなど、Vリーグでは3度のサーブレシーブ賞を受賞。自身のYouTubeチャンネルで公開した「【ガチ】日本記録を出したシーズンは毎日この練習をしてました٩( ᐛ )و」という動画では、サーブレシーブのこだわりを細かく解説し、28万回以上再生されている。目標の選手に小川の名を上げ、その動画をバイブルにしている学生プレーヤーも多い。

獲得したタイトルの数からも安定した返球のイメージが強いが、同じポジションの山本は「何でもできる」と太鼓判を押す。セッターが1本目のボールを触った際には「第2のセッター」としての役割をまっとう。積極的にオーバーハンドでトスを挙げ、相手に的を絞らせない攻撃を展開する。

今年の春高で連覇し、ベストリベロ賞に輝いた谷本悦司(駿台学園高〔東京〕3年)も、小川を参考にしている選手の一人だ。

「小川選手は大学生のときからすごくピュンピュン(トスを)出していて、今もそうなので。動画を見ながら学んでいます」

高校生屈指の守りを見せる谷本悦司(駿台学園高)

昨年度の駿台学園高は、ライバルたちと比べるとスパイカー陣の高さがなかった。「ハイセットを上げても決まらない。リベロからのセットアップでも速い攻撃をしよう」という梅川大介監督の助言もあり、オーバーハンドトスに着手。今年度は身長197㎝の川野琢磨ら高さのあるスパイカーもそろうものの、谷本はその取り組みを継続し、華麗なハンドリングを見せている。高校生男子で唯一出場した第72回黒鷲旗全日本男女選抜大会でも、谷本のトスで相手の意表を突くシーンがあった。

アメリカと戦った昨年のパリ五輪予選以来のスタメン出場で、小川は最後までコートに立ち続けた。質の高いプレーの数々を目に焼き付け、日本のファンはもちろん、学生プレーヤーにとっても至福の朝だったに違いない。

小川智大

おがわ・ともひろ/1996年7月4日生まれ/身長175㎝/最高到達点305㎝/川崎橘高(神奈川)→明治大→ウルフドッグス名古屋→公益財団法人日本バレーボール協会/リベロ

試合のレポートは

文/田中風太(編集部)

写真/FIVB、山岡邦彦(NBP)

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