「スポーツ格差」なくしたい課題山積でも目指すはモデル 部活動の地域移行、受け皿作りに奔走

古里をスポーツで盛り上げる片野さん(福知山市天田)

 休日の中学校の校庭、ソフトボール部員の元気なかけ声が響く。部活動の地域移行に向け、京都府福知山市内で「ホリデークラブ」(合同部活動)の実証事業が進む。学校の垣根を越えて交流を深める生徒同士をベンチから笑顔で見守る。

 片野翔太さん(37)は、地域移行の受け皿を目指す総合型地域スポーツクラブ「福知山ユナイテッド」の代表理事を務める。昨年4月、学校間の調整業務などを担う市の「総括コーディネーター」に就任した。

 指導者不足、平日の移動手段の確保など課題は山積みだが、「都市部とのスポーツ格差をなくし、子どもたちに選択肢を残したい。福知山を全国のモデル地区に」と前を向く。

 スポーツ好きな父親の影響を受け、少年時代から空手、サッカー、陸上の複数競技に打ち込んだ。関西大を卒業後、上京してスポーツメディアやプロ野球球団などを渡り歩いた。

 デジタルマーケティング担当でファンクラブの運営を任された時の事だ。自分が声をかけた小学生が、野球を習い始めたことを知った。「スポーツを裏方から支える役割にやりがいを感じた」

 2022年7月、「プロを輩出できるクラブを地元に立ち上げたい」という長年の夢をかなえるため、友人たちと古里でユナイテッドを創設した。現在、サッカーやバスケットボールなど六つのクラブ・スクールを運営し、小中学生約200人が通う。各会場に週1回は顔を出し、コーチ陣や保護者との対話を重視している。

 世代や立場を超えてつながれるスポーツの魅力を体感してもおうと、元五輪選手らを招いた親子教室を企画。農業体験も加えた合宿で関係人口の創出に努める。「スポーツをキーワードに夢と応援があふれる街にしたい」

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