【韓国ドラマ】Netflix『涙の女王』財閥ヒロイン叔母に好かれる純朴な村人、『愛の不時着』 “耳野郎” 演じたキム・ヨンミンはどんな俳優?

映画『チャンシルさんには福が多いね』でキム・ヨンミン扮するレスリー・チャン(?)が現れる主人公の下宿があったソウル弘済洞のタルトンネ

大ヒット中のNetflix『涙の女王』の終盤は、ヒョヌ(キム・スヒョン)の実家がある村で芽生えた、ヘイン(キム・ジウォン)の叔母ボムジャ(キム・ジョンナン)と村人ヨンソン(キム・ヨンミン)の大人のロマンスも見ものだった。

そのとき、ヨンソンがボムジャから「レスリー・チャン似」と言われる場面があったのだが、「え? レスリー・チャン似?」と思った視聴者がほとんどだったのではないだろうか?

■Netflix『涙の女王』の純朴な村人役、キム・ヨンミンはどんな俳優?

実際、レスリー・チャンは名作『さらば我が愛/覇王別姫』で京劇の化粧映えするような彫りの深くない顔立ち。一方、『涙の女王』の村人ヨンソンは目鼻立ちがはっきりしているので似ているとは思えない。

これはヨンソンを演じたキム・ヨンミンが、映画『チャンシルさんには福が多いね』で、自称レスリー・チャン(ランニングシャツ姿のコミカルな幽霊)を演じたことに由来する小ネタである。

『チャンシルさんには福が多いね』では、悩める主人公(『離婚弁護士シン・ソンハン』のカン・マルグム)に、大家さん(ユン・ヨジョン)とともに人生を説く師のような役割だった。

『チャンシルさんには福が多いね』で主人公の下宿先があった弘済洞のタルトンネ。冒頭、主人公が階段を歩くシーンがあった

余談だが、韓国では中国系の俳優を英語名ではなく、漢字名の韓国語読みで呼ぶのが一般的だ。だから、日本の人が韓国人に「レスリー・チャン」と言っても「?」という反応が返ってくる。レスリー・チャンはチャン・グギョン(張國榮)、ブルース・リーはイ・ソリョン(李小龍)、ジャッキー・チェンはソンリョン(成龍)と言えば通じるだろう。

キム・ヨンミンは40代くらいにしか見えないが、1971年生まれだから、すでに50歳を越えたベテラン俳優だ。大学で演劇を学び、1999年に舞台デビュー。2010年には『ドン・キホーテ』のカデニオ役で大韓民国演劇大賞・男子演技賞を受賞している。

大ブレイクしたのは、もちろん『愛の不時着』の “耳野郎” 役。盗聴する後ろめたさに苦悩する演技は見応えあった。ちなみに、『涙の女王』のロマンスの相手役キム・ジョンナンは『愛の不時着』では北朝鮮の村の主婦を演じていた。

そして、『愛の不時着』の翌年には主人公(『ミセン -未生-』『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』のパク・へジュン)の友人を演じた『夫婦の世界』も大ヒット。主人公の妻(キム・ヒエ)に密かに恋心を抱く難しい役をこなしていた。

それ以前は、ハ・ジョンウとチョン・ドヨン主演『素晴らしい一日』では、嫉妬深くて粘着質の夫役。『受取人不明』では、いじめられる田舎の青年役。『春夏秋冬そして春』では、自分を裏切った妻に殺意を抱く青年役など、屈折したキャラを演じることが多かった。

脱・屈折青年を果たしたのは、『離婚弁護士シン・ソンハン』のチョ・スンウと『ムービング』のヤン・ドングン主演映画『パーフェクト・ゲーム』の新聞記者役だろう。

今のキム・ヨンミンとのギャップを楽しむ意味でも、上記の屈折青年三部作はぜひ観てもらいたい。のちに、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』で主人公(イ・ソンギュン)の妻(イ・ジア)と不倫する役は、屈折青年役の集大成と言えるだろう。

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