JR西、燃料電池車両を2030年代に実用化へ 三菱電機やトヨタと連携し開発

JR西日本の車両(電気式気動車「DEC700」)

JR西日本は24日、三菱電機やトヨタ自動車と連携し、燃料電池車両の仕様や試験内容の検討を進めていると発表した。

燃料電池車両は、水素を用いた燃料電池で発電し、この電力でモーターを動かし走行する車両。従来のディーゼルエンジンで車輪を動かす車両と異なり、排出物が水のみとなることから、CO2排出量の削減につながる。同社は2023年、ディーゼルエンジン搭載車両の将来的な置き換えを目的として、開発に着手すると発表していた。他社においては、JR東日本が「燃料電池ハイブリッド車両」のFV-E991系「HYBARI」を製造し、試験を実施中。また、JR東海でも、水素でエンジンを動かす「水素エンジン車」の開発を発表している。

JR西日本が開発する燃料電池車両では、燃料電池システムや水素貯蔵システムに汎用性の高いものを採用し、国内外の標準化を想定した仕様とする。また、燃料電池車両と電気式気動主回路システムの共通化を図る。これにより、ディーゼルエンジンで発電し、モーターで走行する電気式気動車を、燃料電池車両へ容易に改造できるようにする。

車両の開発では、三菱電機が燃料電池システムと組み合わせた主回路システムの開発、トヨタ自動車が燃料電池システムや水素貯蔵システムの提供、JR西日本が各システムの車体への搭載検討、車両仕様検討などを、それぞれ担当する。JR西日本は、2024年度に車両仕様検討に着手し、2030年代早期の営業運転開始を目指すとしている。

JR西日本は同日、「JR西日本グループ長期ビジョン2032」および「中期経営計画2025」における同社グループの地球環境保護の取り組みを公表。水素関連では、燃料電池車両の開発に加え、地域・事業者と連携した水素利活用の推進も発表した。同社では、運搬した水素の集積・貯蔵や、貨物輸送手段、または燃料電池車両や水素燃料バスへの供給を担う「水素ステーション」を、姫路エリアへ整備することを発表している。同社は今回、岡山地区、山口・周南地区でも、水素利活用計画の検討が進んでいると公表した。

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