札幌地裁 札幌聾学校・手話訴訟 手話原告の訴え棄却

道立の聾(ろう)学校で手話のひとつ「日本手話」での授業が受けられず、学ぶ権利を侵害されたなどとして児童2人が道に損害賠償を求めた裁判で、札幌地裁は原告側の訴えを退けました。 

訴えていたのは札幌聾(ろう)学校に通う小学5年生の男子児童と、学校を卒業した中学2年生の女子生徒です。 

2人は幼い頃から独自の文法体系を持つ日本手話を使っていましたが、聾(ろう)学校で日本手話が堪能ではない担任に代わってから意思疎通ができずに学校を休みがちになり、憲法が保障する教育を受ける権利を侵害されたとして、道にひとり550万円の賠償を求めていました。

裁判で道は「要求は公教育制度の範囲を逸脱している」などとして、訴えを退けるよう求めていました。 

きょうの判決で札幌地裁の守山修生裁判長は「日本手話以外の手段も用いて授業をしており、不合理な差別には当たらない」などとして、原告の訴えを退けました。 

原告(中学2年生)の母は「娘にとって第一言語は日本手話で、日本手話で学びたい。第一言語を奪われることの悲しさやつらさはすごく大きい」などと述べ、控訴する方針を示しました。

また、道教委の倉本博史教育長は「この度の判決においては、当方の主張が認められたものと考えております。今後も、児童生徒一人一人の能力や適性、興味・関心、個々のニーズに応じた教育を受ける機会を確保できるよう、引き続き、日本手話を含む手話を適切に活用しながら、学習指導要領に基づく教育活動を進めてまいります」とコメントを発表しました。

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