『Re:リベンジ』第7話 過剰で安直な悲劇と共感できない主人公の涙

赤楚衛二くんが大病院の理事長という大役に挑んでいる木曜ドラマ『Re:リベンジ』(フジテレビ系)も第7話。副題は「歯車が狂い始める」だそうです。まるでここまでは歯車がかみ合っていたようなことを言ってますが、客観的に見て狂いっぱなしです。

振り返りましょう。

■死んだ……

前回、念願だった理事長のイスにたどりついてニヤニヤが止まらなかった海斗(赤楚)。自ら心臓血管外科センター設立を先導し、元カノ(芳根京子)をNTRされた大友先生(錦戸亮)を差し置いて外部から著名な女性外科医を招聘しました。

センター設立に箔をつけたい海斗は、難しい症例である元カノの妹ちゃんの心臓手術を新しい女性医師に託すことに。手術は見事に成功し、妹ちゃんにも退院の見通しが出てきます。

これをいいことに、記者会見を開いて大々的に手術の成功と新センターの設立をアピールすることにした海斗。女性医師と共にマスコミの前に立ちますが、一方そのころ病室では妹ちゃんの容体が急変。心停止してしまいました。

執刀医の女性医師は会見中。大友先生は海斗が嫌がらせで休暇を与えていたので、のんびり墓参り。ようやく駆け付けた小児科医の若林先生(橋本淳)が必死に蘇生を試みますが、妹ちゃんの心臓が再び脈を打つことはありませんでした。

会見の最中に秘書からこのことを告げられた海斗は病室に駆け付けるも、妹ちゃんの顔にはすでに白い面布が。海斗くんも慟哭に震えるしかありません。

葬儀の日、手術に同席していた若林先生が、海斗に医療過誤の可能性を打ち明けます。術中、あの女性医師が妹ちゃんの肺を傷つけていたかもしれない。焼き場に連れていく前に、病院に運んで解剖すべきだ。理事長、遺族にそう提案してください。

海斗には、失意の元カノに対して「手術ミスってたぽいので妹ちゃんを解剖させろ」と言わなければいけないという、つらすぎるミッションが課せられたところで、次回へ。そんなお話。

■やりすぎやろ……

なんの能力もないのに血縁だけで理事長になってしまった海斗くん。医者たちが一生懸命がんばっている横でニヤニヤしたりビャアビャア泣いたりと忙しい限りです。

第1話のレビューで「たぶんこのドラマは赤楚衛二という俳優さんが恋したり葛藤したり、苦しんだりブチ切れたり、絶望したり慟哭したり、奮闘したり、そういう姿を撮ることを目的とした作品だと思うんです。いわゆる、アイドルドラマの類です。」と書きました。

そして、おおむね、そんな感じで進んできました。元カノを寝取られて「ぐぐぐ」、部下だった週刊誌記者(見上愛)に突然キスされて「ぽやーん」、柔らかい理事長のイスに腰をうずめて「むひひ、えっへん」、自分のせいで妹ちゃんが死んで「ううううう」。

「いろんな海斗くん(=赤楚くん)」を見せるという目的は存分に果たされていますが、それにしてもやりすぎやろと思うんです。やりすぎというか、海斗くんの感情を揺さぶる方法が安直すぎる。

初回から大仰な演出と海斗くんの顔面ばかり撮ることにご執心だったこのドラマは、肝心の海斗くんの内面を描くことを怠ってきました。

そのため、本来ならストーリーを煮詰めることで搾り取らなければいけない海斗くんの涙というものを、「元カノが体売ってました」とか「妹ちゃんが死にました」とか、物理でブン殴るみたいな手法でしか搾れなくなっているわけです。

しかも、どう見ても海斗くんの愚かな振る舞いによって妹ちゃんが亡くなっているので、泣いてる海斗くんに共感できない。海斗くんがいくら泣いても、それが視聴者の涙につながってこない。

結果、ただただひどい話を見せられてる感じ。ひどいよ。あんなちっちゃい子、殺すことないじゃん。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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