YKK APと関電工が業務提携

YKK APと関電工が業務提携、ビルの窓、壁面を使う「建材一体型太陽光発電(BIPV)」の開発に取り組む。

太陽光発電の導入拡大が進むが、平地が少ない日本においては平置きの設置には限界がある。そこで注目されるのが多くの面積が期待できるビルの壁面だ。YKK APによると、全国の既存ビルのカーテンウォール面積は約5200万㎡で、発電定格出力を100W/㎡とすると発電電力は約520万kW、これは戸建住宅約100万棟に相当する。

両社は今回の提携により“ビルの窓を発電所へ”を目指す。YKK APの魚津社長は「これまでの“窓で断熱”に加え“窓で発電”に拡大していきたい。実現するために欠かせないのが電気工事。その分野の知見を持つ関電工と業務提携し、共同開発を実現していきたい」と提携の狙いを語る。

業務提携で“ビルの窓を発電所へ”(右:YKK AP 魚津彰社長、左:関電工 仲摩俊男社長)

具体的には、BIPVの製品・施工・技術・システムの開発を両社でする。YKK APはBIPVの開発・販売を、関電工は施工技術・電設部材を含めたシステムの開発を進める。また、両社でBIPVの市場拡大のための取り組みとメンテナンス性の検討も進める。太陽電池モジュールについてはPVメーカーを特定せず、メーカー各社との連携を進める考えだ。

まず、開発を目指すのは「内窓タイプ」と「スパンドレル内蔵タイプ」の2種だ。「内窓タイプ」は、主に既存ビルを対象にガラス型ペロブスカイト太陽電池を用いるもので、ガラス透過率60%のものを想定する。外部側にパネルやユニットがつかないことから、景観の変化が少なく抑えられるメリットがある。内窓の特性である断熱性や防音性による居住環境の改善も期待できる。各発電ガラスからの電極を収束させフロアごとに使えるようにする必要があること、防災の視点からもフロアごとに電力を取り出せるようにしなければならないなどの課題に対して関電工の知見を生かす。

一方、新築ビルを対象とする「スパンドレル内蔵タイプ」は、カーテンウォールの上下窓の間の空間であるスパンドレル部の内側にPVを設置する。メンテナンス性を考えカーテンウォール一体型を想定、建物の外観に影響を与えないような商品とする。また、ダブルスキンカーテンウォールなど内部ガラスにも設置が可能なものも検討する。透過性を求めないことからペロブスカイトではなく発電効率の高い太陽光発電モジュールの採用を検討する。

24年内にも実証実験を開始、発電効率やコストなど検証結果を踏まえ、販売計画を立てる予定で、26年内の商品化を目指す。

YKK APではBIPVのビル以外への水平展開も視野に入れる。窓やエクステリア、外装などYTKK APの商材に組み込んでの可能性を検討していく考えだ。

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