閉幕間近!高島屋大阪店「不思議の国のアリス展」 日本初公開のカラー原画など約250点紹介

「おかしなお茶会」のフォトスポット (c) MPIL THE MACMILLAN ALICE TM

世界中に熱烈なファンを持つ不朽の名作「不思議の国のアリス」。英国で初出版されてから来年で160年、出版社が所蔵する日本初公開のカラー原画などでつづる展覧会「出版160周年記念『不思議の国のアリス展』」が高島屋大阪店(大阪市中央区)で開かれている。29日(水)まで。

【写真】ルイス・キャロルが「不思議の国のアリス」のルーツである即興の話を聞かせた、友人の娘アリス

「不思議の国のアリス」は1862年、数学講師のルイス・キャロル(1832~1898年)が友人の3人の娘たちに向けて聞かせた即興のお話がルーツ。2年後、キャロルはそのお話に挿絵を入れ、三姉妹の次女アリスにプレゼント、それが「不思議の国のアリス」の原型となったという。キャロルはその後、挿絵を風刺画家ジョン・テニエル(1820~1914年)に依頼。1865年、「不思議の国の―」はロンドンのマクミラン社から出版された。

テニエルはキャロルの絵をもとに挿絵を描写、後にハリー・シーカー(1873~1954年)がテニエルの作品の一部に色を付けた。それによって、青いドレス、白いエプロン、長い金髪に青いリボンというアリス像が確立。さらに時代を経て、ジョン・マックファーレン(1857~1936年)らにより、「不思議の国の―」と続編「鏡の国のアリス」の挿絵はすべてカラー化された。

同展では、マクミラン社が所有するシーカー、マックファーレンらのカラー原画を日本で初めて一挙公開。そのほかキャロルにまつわる展示や「アリス」の書籍など、あわせて約250点の貴重な資料を紹介している。

楽しみ方のポイントは“見比べ”だ。各作家による同一場面の挿絵が並ぶ構成が特徴で、描き手によって人物の表情が微妙に違っていたり、アリスのドレスの色が変化していたりする点が興味深い。ただ、絵のタッチは当初版(テニエル画)を忠実に踏襲していて、英国を代表する物語「アリス」が、160年にわたり大切に引き継がれてきたことをうかがい知ることができる。絵の下には物語の一節もあわせて掲示、ストーリーを知らない人もアリスの世界を味わえる。

会場では、ウサギたちとの「おかしなお茶会」やトランプが空中に舞い上がり、アリスを襲うシーンなどのフォトスポットを設置しているほか、キャロルや物語のモデルとなったアリスの写真、書籍類も展示。併設ショップでは、同展限定品を含む約300種のアリスグッズを販売している。

高島屋大阪店の広報・PR担当の袁正記さんは「ディズニー作品で知った人も多いであろう『アリス』の原点に触れることができる貴重な機会。アリスファン、美術ファンはもちろん、子どもから大人まで幅広く楽しめる展示になっているので、ぜひ多くの人に足を運んでもらいたい」と話した。

なお同展は巡回展で、大阪会場は横浜に続き2か所目。大阪の終了後は名古屋で開催する。

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