「60得点も可能な選手が2人いる」。ピアースがマブズを引っ張るドンチッチとアービングを絶賛「NBA史上ベストなオフェンシブデュオだ」<DUNKSHOOT>

現地時間5月22日にターゲット・センターで幕を開けたウエスタン・カンファレンスのファイナル初戦。アウェーのダラス・マーベリックスが108-105でミネソタ・ティンバーウルブズを下し、シリーズ1勝目をあげた。

「勝負所で酷いオフェンスをしてしまった。バッドショットにターンオーバーの数々、それに落ち着きもなかった。我々はクラッチタイムでもっと上手くやらなければならない」

ウルブズのクリス・フィンチHC(ヘッドコーチ)は試合後にそう振り返り、24日の第2戦に向けてチームの課題を口にした。ウルブズは前半こそ62-59とリードして折り返すも、43-49と劣勢になった後半はチーム全体でフィールドゴール成功率36.4%(16/44)と失速し、終始1桁点差だった大事な初戦を落とした。

そのウルブズとは対照的に、マブズは「誰もパニックに陥ってはいなかった。自分たちのプレーが良かろうと悪かろうと関係なく、そこには絶大な信頼があった」とジェイソン・キッドHCは言う。
見事に初戦を制したマブズは、ルカ・ドンチッチがゲームハイの33得点に6リバウンド、8アシスト、3スティール、カイリー・アービングが30得点、5リバウンド、4アシストと両輪が躍動。さらにPJ・ワシントンが13得点、7リバウンド、2ブロック、ダニエル・ギャフォードが10得点、9リバウンド、デレック・ライブリー二世が9得点、11リバウンド、3アシスト、2ブロックで勝利に貢献した。

なかでも劣勢の前半を牽引したのがアービングだ。32歳のスコアラーは前半に両チーム最多の24得点。そのうち18得点は得意のフローターなどペイントエリアから奪ったものだった。『ESPN Stats & Information』によると、これは通算7度目(計87試合目)のプレーオフを戦うアービングにとって、前半に記録した得点としては2番目に多い数字だ。

クリーブランド・キャバリアーズ時代の2017年以来、7年ぶり4度目のカンファレンス・ファイナルを戦うアービングは、「前にもこの場にいたからね。ほんの少し落ち着いて臨むことができているよ。自信を持って試合を始めて、攻撃的でいられるんだ」と、いい精神状態でコートに立てていることを明かした。 そんなアービングについて、ドンチッチは「凄いね。彼があそこまで点を取っていなかったら、僕らは20点差をつけられていたかもしれない。彼がいてくれて本当に感謝しているよ」とコメント。

さらに「後半では彼のことを助けなきゃいけなかった。そこで僕らは役割をスイッチしたのさ」と語った通り、第4クォーターはドンチッチが15得点を荒稼ぎ。ディフェンス面でも相手のオフェンスを遮断する働きを見せ、マブズにシリーズ先勝をもたらした。

爆発的な得点力を発揮する2大エースを、レジェンドも絶賛している。翌23日、米メディア『Fox Sports 1』の番組「Undisputed」へ出演したポール・ピアース(元ボストン・セルティックスほか)は、ドンチッチとアービングに最大級の賛辞を送った。

「あの2人はベストなオフェンシブデュオだ。バックコートとしてだけでなく、NBA史上ベストなオフェンシブデュオなんだ。カイリーのスキルセットについてはみんなよく知っている。NBAプレーヤーたちから、彼こそが最もスキルの備わった選手なんだと聞いてきた。そしてルカはリーグの得点王だ。あのチームには60得点も可能な選手が2人いるんだ。俺は心の底から、あの2人こそが歴代最高のオフェンシブデュオだと思っている」
『StatMamba』によると、初めて一緒にプレーしたカンファレンス・ファイナルの初戦で揃って30得点以上を奪ったコンビは、この日のドンチッチとアービングが2組目。2017年に初共演したゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーとケビン・デュラント(現フェニックス・サンズ)に並ぶハイスコアリングデュオとなった。

ともに豊富なスキルを備えるドンチッチとアービングは、アウトサイドショットの調子が悪くても、ペイントへ入り込んでシュートまで持ち込めるテクニックと決定力があり、フリースローでつなぐこともできる。

デュオ結成2年目で到達した大舞台で、2人が見せるスコアリングショーに今後も注目だ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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