KTM 250 DUKEがフルモデルチェンジ! 次世代エンジン「LC4c」を搭載し、楽しさと扱いやすさマシマシ

KTMのネイキッドスポーツ「DUKEシリーズ」の中で、「THE THRILL CHASER」とも呼ばれる250 DUKEは、オールマイティな扱いやすさと軽快な走りを両立し、幅広いライダー層から支持されている。

そのKTM 250 DUKEが今年フルモデルチェンジ。新設計の単気筒エンジン「LC4c」は従来より軽量コンパクト化されEURO5+にも適合。新設計のスチール製トレリスフレームには、最適化された足周りがセットされている。

写真:関野 温

DOHCからOHCに変更するも、パワーとトルクは向上している

メインフレームとサブフレームを変更し、スタイリングも一新された。

「LC4」エンジンは新設計でコンパクトになり、名称も「LC4c」となった。シリンダーヘッドとギヤボックスも最適化され、EURO5+をクリアしている。

KTM 250 DUKEは、DOHC単気筒LC4エンジンから新設計OHC単気筒LC4cエンジンへ変更された。最高出力は30PSから31PS、最大トルクは24Nmから25Nmへとそれぞれ高められつつ、最新のEURO5+規制をクリアしている。

新設計のスチール製トレリスフレームが、リヤショックの車体右側への移設を可能とした。サブフレームはアルミダイキャスト製に変更された。

コンパクト化されたエンジンに合わせてメインフレームも新設計された。アルミダイキャスト製サブフレームも新設計で、スイングアームも新型の鋳造アルミ製となり軽量化されている。リヤショックを車体右側にオフセットすることで、シート高を30mm下げ830mmから800mmへとダウン。足着き性を改善するとともに、安定性向上にも貢献している。さらに、リヤショックがオフセットされていることでエアクリーナボックスも大型化されている。

新設計のスイングアームは左右非対称形状。フロントサスはトリプルクランプが新形状となっている。

フロントサスはトリプルクランプを新形状とし、オフセット量を見直すことでハンドリング特性を変更。マシンコントロール性と安定性も向上している。フロントフォークはWP製φ43mm APEXビッグピストン、リヤショックはWP製APEXエマルジョンを装備。リヤショックはプリロード調整が可能。

ブレーキは前後ともにバイブレ製を採用。「SUPERMOTO ABS」を標準装備している。

フロントディスクはφ320mm。バイブレ製ブレーキキャリパーは新開発の4ピストンでラジアルマウント。リヤディスクはφ240mm。バイブレ製ブレーキキャリパーは新開発の2ピストン。大径ディスクは作動温度を下げることで耐フェード性を向上し、ブレーキパッドの長寿命化にも貢献している。

KTM 250 DUKEの足着き性をチェック

人間工学に基づいたライディングポジションを実現している250 DUKE。

新設計フレームによりシート高は830mmから800mmへ下がり、身長172cmのライダーがまたがると両足をベッタリと着ける。車体はコンパクトだがライディングポジションに窮屈さはなく、アップライトで快適なフォームが決まりやすい。足着き性がよく、車重も軽くて取りまわしやすく、小柄なライダーにも扱いやすさが感じられるだろう。

ハンドルバーやシートは、ハンドリングや安定性を損なうことのないようデザインされている。

アップタイプのバーハンドルは広すぎず、軽快なハンドリング操作が行なえる。シートは厚めのシートフォームを使用し、人間工学に基づいてデザインされた新形状となっている。足着き性と座り心地が改善され、それも乗りやすさとして感じられる。

燃料タンクとヘッドライトはエッジの効いたシャープな形状にデザインされている。

燃料タンクは金属製で、容量は約15L。ヘッドライトはLEDだが、デイライトは非装備となっている。ヘッドライト、エアインテーク、タンクは、DUKEシリーズらしいアグレッシブなイメージにまとめられている。車体色は画像のエレクトロニック・オレンジとセラミック・ホワイトの2色が設定されている。

アグレッシブなデザインのサイドビューに対して、正面と後方から見るKTM 250 DUKEの車体はスリムさが際立っている。

新デザインとなった5インチ液晶ディスプレイ。速度、エンジン回転、燃料計、水温計、バッテリー状態などを表示する。トラクションコントロールやエンジンモード設定は装備していないが、リヤのABSは解除できる。スマホとの接続が可能で、音楽再生や電話応答ができる。ディスプレイ左横には電源ソケットを装備。

ディスプレイの表示変更や機能設定はハンドル左側に設置された「4ウェイ・メニュー・スイッチボックス」で操作する。ボタンは大きめで、グローブのままでも操作しやすい。ハンドル右側はキルスイッチとスタートボタンが配置される。## 粘るトルクと回しやすいエンジン。ウェット路面でも自在な走りを楽しめる!

試乗当日は雨が降り続き、路面はウェット状態。KTM 250 DUKEに初めて乗るということもあり、まずはタイヤのグリップ力を確認しつつ、アイドリングからスロットルを少し開けた状態で発進してみた。取りまわしで軽さを感じた車体は走り出しも軽快で、車体がスッと前進する。極低回転域でもトルクが粘り、エンストしそうなエンジン回転の落ち込みがないのが好印象だ。

さらにスロットルを開けていくと、低中速トルクもしっかりと立ち上がってくる。タイヤからの接地感も分かりやすく、ウェットでも前後タイヤが路面をグリップしているのが伝わってくる。パワーは驚くほどではないものの必要充分。蹴り出されるような加速力はないが、エンジンは高回転まで振動もなくスムーズに回り、スロットル操作に対する加速が予想どおりで扱いやすい。

取りまわしの軽さは乗り味の軽さにもなっていて、コーナーもヒラヒラとクリアしていける。前後サスは状態のいい舗装路での乗り心地はフラットだが、荒れた路面では底突きを感じた。フロントサスに調整機能はなく、トラクションコントロールやエンジンマップ変更といった機能もないが、極低回転からトルクがしっかりと立ち上がり、高回転までスムーズで扱いやすいというKTM 250 DUKE本来の乗り味が逆に鮮明に感じられた。DOHCからOHCになったデメリットはなく、むしろ実用域での扱いやすさは増しているように思った。初めてDUKEシリーズに乗ってみようという人や、バイク自体初めてというビギナーにもおすすめできる乗りやすさと楽しさのある1台になっている。

全長/全幅/全高NA装備重量165kg(燃料含む)ホイールベース1357mmシート高800mmエンジン型式水冷4ストロークOHC 単気筒総排気量249cc最高出力23kW(31PS)/9500rpm最大トルク25Nm/7500rpm燃料消費率(WMTCモード値)NA燃料タンク容量約15Lブレーキ形式前ダブルディスク、後ディスクタイヤサイズ(前/後)前110/70R-17 後150/60R-17ボディカラーエレクトロニック・オレンジ、セラミック・ホワイト価格68万9000円

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