“いいね”に踊らされて退職へ… 夫婦間に亀裂が入った「夫のSNSトラブル」【前編】

SNSに興味を持ち始めた夫

「あるとき、夫から“SNSのアカウントを作りたいんだけど”と尋ねられました。夫はそれまでSNSに興味はなく、むしろ嫌悪感を示すようなタイプだったんです。
夫は車やバイクが好きで、自分でカスタムするような趣味を持っていました。結婚して子どもが生まれ、趣味からは離れていましたが、友人のなかにそういった写真をSNSに投稿している人がいて、見てみたかったようです。アカウント作りを手伝い、夫はしばらくいろんな人のSNSを覗いていました。そのうち、自分も何か投稿してみたくなったようで、過去に撮った家族旅行の写真をアップ。すると、いくつか“いいね”が付きました」

SNSに職場の不満を吐き出すと…

「“いいね”が付くと気分が良いようで、夫はそこからちょこちょこ写真などを投稿するように。反応を見ては、“こういうのは食いつかないんだな”と自分なりに分析をしていました。
ある日、夫が職場で抱えたちょっとした不満を、ポロッとSNSに吐き出しました。それが、予想外に反応が多く、“いいね”がたくさん付いたんです。気分を良くした夫は、職場での愚痴を呟き続けました。するとさらに、“いいね”の数が増え、同業者と思われる人たちとも繋がるようになりました」

上司から注意を受けた夫

「夫が職場への不満を書き込むと、同業者と思われる人たちから賛同の声があがりました。夫はますます気を良くして、普段から頻繁にSNSをチェックするように。すると、職場の誰かが気付いたんでしょう。夫のSNSの件が上司の耳に入り、“控えるように”と軽く注意を受けたのです。
しかし、従う気配は夫にはありませんでした。むしろ、“こういう職場の体制を変えたいんだ”と、新たな目標を見つけ、使命感に駆られているような状態に。投稿する内容はエスカレートし、コメント欄には賛同の声が増え、夫は勢いづいたようです。ところが、状況はいつまでも夫に味方をしませんでした…」

夫は職場内で孤立し始め…

「夫の書き込みに対して、徐々に批判のコメントが増え始めたのです。“会社に守ってもらっている立場で何言ってるんだ”等の批判を受けるように。夫はそれに対して、“こんなことを言うのは同じ会社の人間に違いない”と同僚を疑い始めました。“卑怯者め”と対抗する気マンマン。それまで私はあまり口出ししないようにしていましたが、そこでようやく夫が危険な状態にあると思いました。“子どもにも悪影響だから”と理由をつけて、やめるように促したものの、聞く耳を持ってくれませんでした。
以前までは、夫は職場の人たちと飲みに行く機会も多かったんですが、それがピタッとなくなりました。夫は職場内で孤立し始めたようで、ついに“会社を辞める”と言い出しました。考え直すように説得しましたが、その2か月後には本当に退職してしまったのです」

“夫のSNSトラブルで夫婦間に亀裂の入った妻の告白”をご紹介しました。
SNSも使い方次第。周囲の声に翻弄されやすいタイプの人は、深入りしないほうが良いのかもしれません。

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