ICJ、イスラエルにラファ攻撃停止を命令 1カ月内の進捗報告も

Stephanie van den Berg Anthony Deutsch

[ハーグ 24日 ロイター] - 国際司法裁判所(ICJ)は24日、パレスチナ自治区ガザに対する攻撃を続けるイスラエルに対し、ガザ地区南部ラファでの軍事攻撃を即時停止するよう命じた。ガザでイスラエルによる大量虐殺が行われているとする南アフリカの要請を認めた。

ICJは、3月にICJが命じた暫定措置ではガザ地区での状況に十分対応できておらず、新たな緊急命令の条件は整っていると指摘。「イスラエルはラファでの軍事攻撃を直ちに停止しなければならない」とした。

さらに、イスラエルに対し、人道援助の受け入れのためガザとエジプトの境界にあるラファ検問所を開放するよう命じるとともに、ガザへの調査官の立ち入りを許可し、1カ月以内に進捗状況を報告するよう求めた。

ICJは国家間の紛争を審理する国連の国際司法機関で、判決は最終的かつ拘束力を持つ。ただ執行権限はなく、過去にはその判決が無視されたこともある。

評決は賛成13、反対2だった。ウガンダとイスラエルの裁判官が反対票を投じた。

南アフリカのラマポーザ大統領は今回の判決を歓迎。その上で、国連安保理がガザ住民の苦しみを軽減できていないことに引き続き懸念を示した。

パレスチナ自治政府は、判決は戦争を終わらせなければならないという世界的なコンセンサスを表しているが、ガザの他の地域での攻撃停止は求められておらず不十分とした。

イスラム組織ハマスの幹部バセム・ナイム氏はロイターに対し、今回の判決をイスラエルに順守させる実質的な措置を取るよう国連安保理に求めると述べた。

一方、イスラエル側は反発。イスラエル首相府は、イスラエルがガザで大量虐殺を行っているとの南アフリカ側の主張を「虚偽であり、言語道断で、道徳的な嫌悪感を引き起こす」と非難。「イスラエルは、自国の領土と国民を守る権利に基づき、道徳的価値観に従い、国際法に従って行動している」とし、ラファでの作戦は「ガザ地区のパレスチナ民間人に全体的または部分的な物理的破壊をもたらすような」方法では行われないとした。

イスラエルのスモトリッチ財務相は、イスラエルに戦争停止を求める人々は戦争の終結も要求しており、イスラエルはそれに応じないとした。野党指導者ヤイル・ラピド氏は、戦闘停止とハマスによる人質解放が結びついていないとして、今回の判決は「道徳的崩壊であり、道徳的大惨事」とした。

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