フースーヤ「好き嫌いが分かれる漫才だった」…結成9年目で初優勝

上方演芸界において新人登竜門のひとつである『第54回 NHK上方漫才コンテスト』で、結成9年目のフースーヤ(田中ショータイム、谷口理)が優勝を果たした。放送後の囲み会見で、「賞レースとか、そういうタイプじゃなくて・・・」という葛藤を明かした。

『第54回 NHK上方漫才コンテスト』で優勝したフースーヤ(5月24日・大阪市内)

■ 高校の同級生、終始笑顔の絶えない会見

過去にはオール阪神・巨人、トミーズ、ティーアップ、フットボールアワー、笑い飯など、ベテラン・中堅が最優秀賞を受賞し、近年ではかまいたちや和牛、天才ピアニスト、そして2023年大会ではスナフキンズが優勝。漫才、コント、漫談などジャンルを問わず、結成10年以下の芸人が対象となる。

終始笑いの絶えない優勝会見となった。冒頭、「拍手と熱烈な応援、そして涼しいエアコン!ありがとうございます!」と声を揃え、笑顔を見せた2人。

田中は、「僕たち9年目ということで、賞レースはたびたび挑戦してきていたんですけど。何回か惜しいところにいきつつパッとしない結果が続き・・・なかなか賞レースというものが難しいな、どうやって勝ったらいいんやろうと悩んでいて。そもそも賞レースに勝てるタイプじゃないというか。周りからも『賞レースとか、そういうタイプじゃない』と言われ続けていましたが、やっぱり獲りたいというものがあって」と、内に秘める思いを吐露。

続けて、「NHKさんで僕らが獲ったというのが大きな意味があるんちゃうかなと思って。世間からあまり受け入れられないというか、好き嫌いがはっきり分かれるタイプの漫才で獲れたのは、かなり説得力が出るんじゃないかって。これから自信を持って言える最高の賞を獲れて誇りに思いますし、今まで支えてくれた家族、ファンのみなさまに本当に感謝承りますことを・・・」と感極まると、「いや、固くならんでええよ!」と谷口がすかさずツッコんだ。

田中ショータイム(5月24日・大阪市内)

そんな谷口は、「まだちょっと信じられないところがあるんですけど。NHKさんは2、3年目くらいからオーディションも良い感じでしたし、フースーヤが賞レースのタイトル持ってるのがNHKっていうのが『嘘やろ!?』ってなるんで、ずっと欲しかったタイトルであったので、かなり喜んでます。夢みたいですけど、本当にショータイムとやってきてよかったです」と言い、田中が照れつつ谷口の膝をつつく一幕も。

谷口理(5月24日・大阪市内)

自身のネタについて、「今日も正直あったと思うんですけど、ギャグをバーン!とやって、スンッとなる瞬間があって。あの瞬間を2人でニヤニヤしながら、エグいときは逃げるように次に行きますが(笑)、あの間を2人で楽しんでるというか」と谷口。田中も「もちろんウケて欲しいんですけど、スベっても良い間というか。そこはずっとやってて好きというか、違和感もありおもしろさもある。魔法の間という感じです」と明かした。

賞レースでは鳴かず飛ばずだったが、焦りはなかったという2人。「やっぱり2人でおもしろいと思う漫才をやって、自分たちが勝ちきれるときが来るやろうなと。今日は本当に安心しました」と谷口。

今後の展望について、田中は「フットボールアワーの後藤さんに憧れているので。お笑い界を代表するツッコミ芸人になりたい。漫才は常に磨いて、僕ららしさ全開で、お笑い界を突き上げていきたいな、なんて・・・かっこいい理想を抱いちゃっています!」と明かし、谷口は「もちろん『M−1グランプリ』もありますし。でもNHKさんと仕事は本当にしたくて、大河ドラマとか朝ドラとかめちゃくちゃ好きなので、通行人Zくらいで出たいですね。そういうところに繋がっていけたら」と意気込んだ。

放送後、SNSでは「フースーヤ」がトレンド入り。「フースーヤ、おめでとう!!素晴らしい!」「フースーヤずっとくだらないでいてくれ~!」「フースーヤのお笑いって唯一無二で最高に面白くて最高」「これからもどうか、ずっとやりたい漫才を貫き通してくれ」「1発屋と言われたところからスタイルを変えず(変えないための変化を恐れず)やってきて優勝。マジで尊敬する」と、反響が相次いだ。

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