名鉄運輸 売上高1600億円超へ 日通と特積み統合で 吉川社長インタビュー 3PLの新営業部隊も

「主力の特積み事業の統合は創業以来のビッグイベントだ」と意気込む吉川社長

 名古屋鉄道グループの運送大手、名鉄運輸(本社名古屋市東区)の吉川拓雄社長は中部経済新聞の取材に応じ、2025年度以降の売上高について「(現状比で)1.5倍程度にしたい」との方針を示した。名鉄運輸は日本通運との特別積み合わせ運送事業(特積み事業)を来年1月に統合する予定。事業統合効果などで売上高規模(22年度実績は1153億円)を、1600億~1700億円程度に引き上げたい考えだ。

 特積み事業は不特定多数の荷主の荷物をまとめて、全国規模で運ぶ形態。名鉄と日通の親会社のNIPPON EXPRESS(ニッポン エクスプレス)ホールディングスは今年2月、特積み事業の統合で合意した。
 名鉄は日通から、特積み事業を手掛ける子会社のNXトランスポート(本社東京都)の全株式を取得。来年1月には日通の特積み事業を継承する予定だ。「主力の特積み事業の統合は、創業以来のビッグイベントだ。早く統合の効果を出したい」(吉川社長)と意気込む。
 日通との事業統合などで名鉄運輸は企業間物流を支える特積み運送市場で、西濃運輸(本社大垣市)、福山通運(本社広島県)に次ぎ、業界3位に浮上する見通し。
 吉川社長は「利益を増やすために、重複している拠点の再配置や見直しも検討し、幹線便の効率を高めていきたい」と強調、収益力の向上についても、統合効果を早期に引き出す考え。
 具体的には、日通との特積み事業の統合にあわせ、グループ会社の中国名鉄運輸(本社山口県山口市)の本社拠点を日通側の山口県内の拠点と統合し、山口市内へ移転拡大する。2階建ての倉庫を併設するなど、延べ床面積は、現状の中国名鉄運輸の拠点の約3倍となる2万平方メートル規模を計画。移転先の建屋は25年10月ごろの完成を予定している。
 また、荷主の物流業務を包括的に受託する事業「3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)」などで、新規顧客の開拓に特化した営業部隊「ロジスティクス戦略部」を4月1日付で立ち上げた。30代後半から50代前半の少数精鋭の5人が在籍している。吉川社長は「既存の営業とは別の、専任の営業部隊。グループ全体の総合力を高めたい」と語った。名鉄運輸は、グループ22社の営業基盤などを強化することで総合力を引き上げ、収益拡大につなげる方針だ。

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