【阪神】ノーヒットノーラン完敗はむしろ〝吉兆〟か 第1次岡田政権時は「昌の屈辱」以降9連勝

冷静さを崩さなかった阪神・岡田監督

屈辱の黒星がバネとなるか――。阪神は24日の巨人戦(甲子園)で相手先発・戸郷にノーヒットノーランを達成され、0―1で敗退。直近10戦中8試合で2得点以下しか挙げられていなかった低調な虎打線は、宿敵Gの若きエースによる快刀乱麻の投球を前に、完全沈黙するしかなかった。

本拠地甲子園で行われた「伝統の一戦」で同記録を許したのは1936年9月の沢村栄治以来、88年ぶり。文字通りの歴史的敗北を喫してしまった形の岡田彰布監督(66)だが、試合後の表情は終始サバサバ。「そら、ええピッチングされたらこんなもんやろな。今の調子やったら。全然攻めようがない」と振り返った上で「そらオマエ、明日、野手がどんなバッティングするかよ。どんだけ奮起するかやな。もう終わったことやしな」と切り替えの重要性を強調し、次戦へ目を向けた。

そして「昌? 2回目やったかな? 05年か06年かどっちかなと思っとったけど」とも述べた。虎将の胸に去来したのは、第1次政権時の出来事だ。2006年9月16日の中日戦(ナゴヤドーム)で山本昌にノーヒットノーラン負け。だが、翌17日の同戦から奮起した当時の虎打線は、ここから怒とうの9連勝と白星を量産した。

現役選手および指導者として酸いも甘いも全てかみ分けてきた百戦錬磨の老将だけに、挫折や屈辱を未来への糧とすることの大切さは百も承知。0―21で負けようが、0―1でノーノー負けを食らおうが〝1敗は1敗〟。長丁場のシーズンはまだ、ようやく3合目付近を越えたばかりだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社