大分トリニータ 藤原優大 尽きない向上心 【大分県】

「このチームなら成長できる。1試合平均1失点に貢献したい」。今季の大分トリニータの新体制発表会でDF藤原優大はこう語った。現在、大分は5勝7分4敗で11位。16試合で16失点は藤原が目標とする数値をクリアしているが、「ほとんどが防げた失点だった」と悔しさを露わにする。

今季の大分は、プレーを止めずに前線からボールを追い、チームを全体で的を絞って奪い取り、一気にゴールを目指す攻守で切れ目のないサッカーを目指している。序盤戦は前線と中盤、最終ラインが連動できずにチグハグな場面が多かったが、試合を重ねるごとに整理されてきた。ここ5試合は2勝3分と負けなし。藤原は「前線からの守備がハマる試合が増えた」と手応えを感じているが、「90分通して狙いとするサッカーができていない」と課題を挙げる。

直近の2試合を振り返ると、先制しながら後半に相手が対策を練り、その変化に対応できずに失点を許す場面があった。藤原は「相手が戦い方を変えたときに、システムや立ち位置がどう変わって、何をすれば対応できるかを共有できなかった」と明かす。同じポジションの安藤智哉とは、試合中に戦況の変化や互いに気づいたことを伝え、最終ラインを統率できても、その前の6人まで浸透できず、「後ろの4人と前の6人が分裂してしまった」と反省する。

試合ごとに守備の手応えを感じている藤原優大

守備の人らしく、失点の責任を重く受け止め、常に無失点を目指している。「強いチームは守備がいい。体を張り、何が何でもゴールを許さない」。それは昨季、J1に昇格した町田での経験があるからこその思いだ。体を張ったゴール前のぶつかり合い。届かないと知りながらも飛び込んでいく最後のスライディングタックル。これらは常日頃の練習から意識することで習慣になるという。

藤原の言動は守備陣に伝染し、昨季よりゴール前のブロック阻止率は高まっている。「相手より先に(ボールに)触る」(藤原)プレーは守備だけでなく、前節の水戸戦ではCKから大分加入後初得点を決めた。「得点も取り、ボールを運べ、試合を組み立てる。そんなプレーができるようになるために大分に来た。まだまだ成長できる」と向上心は尽きない。

1試合1失点以下にこだわる

(柚野真也)

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