「退職金2,800万円」「貯金4,000万円」60歳定年退職のサラリーマン夫、花束を抱えて家路…自宅で待っていた妻の「衝撃のひと言」に戦慄

サラリーマンであれば、いつかは必ず訪れる定年退職の日。大変だった日々を思い出し「ここまでやってこれたのも妻のおかげ」と感謝の気持ちでいっぱいになり、「これからは夫婦水入らずでゆっくりしよう」と考えるのも、ひとつのパターンです。そんな夫に対して妻は、まったく別の方向を見ている可能性も……みていきましょう。

単なる勘違い?気の利く妻が支えてくれた「サラリーマン人生」だったが…

60歳、定年退職を迎えたサラリーマン。職場から大きな花束をもらい、家路についたときの衝撃を投稿。

大学卒業以来、40年近く勤めた会社。出世コースに乗ることはできなかったといいますが、それでも定年退職金は2,800万円。住宅ローンも完済し、「老後資金2,000万円不足」といわれていますが、その倍の貯蓄があるため、60歳で会社を去る決意をしたといいます。

――これからは妻とゆっくりと過ごせたら

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、大学・大学院卒の定年退職金は平均1,896万円。月収換算で36ヵ月分です。さらに勤続年数別にみていくと、「勤続20~24年」で1,021万円、「勤続25~239年」で1,559万円、「勤続30~34年」で1,891万円、「勤続35年以上」で2,173万円。全体と比較しても、十分すぎる退職金を手にした自負があったといいます。

こんな定年を迎えることができたのも、家庭を支え続けてくれた妻のおかげ……そんな思いがありました。そんな妻から「おつかれさまでした」のひと言を期待していた男性。その通りの労いがあったといいますが、その後に続いた言葉に、一瞬、時が止まったといいます。

――この家の家政婦はこれで引退ね

確かに結婚して35年。特に子供が生まれてからの30年は仕事に没頭。家庭を顧みず、仕事を言い訳にしたこともありましたが、それもすべて家族のため。そのことを理解したうえで支えてくれていると思っていただけに、自分を「家政婦」と表現した妻のひと言に衝撃を受けたといいます。

妻は気が利く性格だと評判で、親戚が集まったときも率先して家事を行い、「ほんとうにいいお嫁さんをもらったね」と褒められることもしばしば。男性は、鼻高々だったといいます。さらに先日亡くなった母が要介護となったときも、「わたしが介護を手伝えばいい?」と言ってくれたのは妻からで、ただただ感謝していると男性。ただ妻いわく「そう言わないといけない雰囲気だったわ」と振り返ります。

――まわり(親戚)も「長男の嫁」がみるべきと思っていたでしょ

――みんな(=家族も親戚も)私のこと無意識に「家政婦」と思っているのよ

――それが分かっているから自然と「わたしがやります」って言っちゃうの

義母が要介護認定を受けてから同居をスタートし、在宅介護は5年にも及んだといいます。

長男の嫁、重すぎる「義母の介護負担」

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、要介護者に対して主な介護者の属性をみていくと、「同居する配偶者」が22.9%、続いて「同居する子」が16.2%、「別居の家族等」が11.8%、「同居する子の配偶者」5.4%。「事業者」は15.7%でした。

また男女別にみていくと、主な介護者が同居の場合は「男性」が31.1%、「女性」が68.9%。別居の場合は「男性」が26.0%、「女性」が71.1%。「同居する子の配偶者」が介護するケースは少数派ながら、男性の妻のように「長男の嫁」が義親の介護をするというのは、昔からよくあるパターンです。

また義母は最終的に要介護3まで進んだとか。それはどれほどの負担なのでしょうか。

要介護3は、要介護認定等基準時間が70~90分。歩行器や車椅子を使用し、食事や歯磨き、入浴など、日常生活において全面的に介助を必要とするレベルです。また認知症の症状も見られることが多くなります。

また前出の厚労省の調査によると、要介護3の場合の介護時間について「ほとんど終日」が最多で31.9%、「半日程度」が21.9%、「2~3時間程度」が11.5%、「必要なときに手をかす程度」が26.0%。どれほど介護サービスをお願いするかにもよりますが、この結果からも、要介護3の介護負担は、相当なものであることが推測されます。

自宅での介護も難しくなり、施設への入居も視野に入りますが、「長男の嫁」という周囲からの無言のプレッシャーもあったのでしょう。最後まで在宅で介護を行い、自宅で看取ったといいます。

――(負担だと)言ってくれたら

と男性。それに対し妻は

――言っても分からないわよ、あなたは

そんなやり取りを報告する男性に対して

――定年で旦那が家に……奥様の負担がさらに大きくなる

――心を入れ替えないと離婚は確実

――いや、離婚は時間の問題。すでにフラグが立ってる

辛辣な声が並びます。男性が思い描いていた定年後の生活を実現できるのか……いまのところ可能性はかなり低いと言わざるを得ません。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

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