「慶余年2」快進撃の裏で……CMめぐり不満の声

中国国営テレビ・中央電視台(CCTV)と動画配信サービスの騰訊視頻(テンセントビデオ)で16日に放送・配信をスタートした時代劇「慶余年(邦題:慶余年~麒麟児、現る~)」のシーズン2は、ストーリーの面白さと爽快ぶりで話題を独占する一方で、度を越えた「錬金術」が視聴者の間で物議を醸している。

動画配信サービスを支える収入源は主にメンバーシップの会費と広告収入。1億超の会員数を誇る騰訊視頻の場合、VIPとSVIPの2種類のメンバーシップが存在する。SVIP料金はVIPより割高だが、「ドラマの先取り受信」「オンデマンド配信」などのプレミアムサービスが付けられており、「慶余年2」のような話題作が配信される間は一時的にSVIPへとグレードアップを希望する会員が続出し、増収増益が期待できる。前作の「慶余年」が配信された2019年には、オンデマンド配信だけで1億4500万元(約31億4500万円)の収益が得られ、人気作の経済効果が証明された。

広告に関しては、「慶余年2」のリリース前にすでに26社のスポンサーが付き、ドラマの配信前後と間に9本という密度で広告が流されている。本来なら広告をブロックできるはずのVIPとSVIP会員だが、本作ではスキップ不可となり、会員にとって大きなストレスに。「広告の多さにあぜん!会費を取られた上、広告まで押し付けるなんて、ナンセンス!」などと「二重搾取」への不満が噴出した。

人気コンテンツに便乗した会員制ビジネスと、広告の表示回数と時間で収益拡大を図るプラットフォームの「錬金術」が露呈したことになる。

「慶余年2」で見られた「錬金術」は愛奇芸(iQIYI)で23日にスタートした対抗馬「狐妖小紅娘・月紅篇」でも繰り返されるもようだ。同作品の配信日が確定した時点で、スポンサー数は56社に上り、「慶余年2」をはるかに超えた。同じく「二重搾取」の構図が待ち受けているとみられている。

狐妖小紅娘・月紅篇

ここで注目すべきは、上記2作品の原作版権を所有する電子書籍の大手、閲文集団という会社。騰訊の関係会社で、「慶余年」がクランクアップした18年に当の制作会社である新麗伝媒集団を買収し、「贅婿(邦題:贅婿~ムコ殿は天才策士~)」「雪中悍刀行」などを傘下に収め、さらに昨年末は騰訊動漫(テンセントアニメーション)を買収し、「狐妖小紅娘」「一人之下」など人気コンテンツを手に入れた。今後はオーディオブック制作、ゲーム化、関連グッズの開発など、新たな「錬金術」にも力を入れると見られている。(編集/RR)

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