大調査の結果を公表、被害は832カ所に 中国や朝鮮半島から侵入か 特定外来生物クビアカツヤカミキリ「さらなる対策必要」 発生市町村は6年で4倍以上

被害を受け根元にフラスが散らばる県北の桜=2023年11月(県環境科学国際センター提供)

 桜などの樹木の枯死を招く特定外来生物クビアカツヤカミキリの拡大に歯止めがかからない状況となっている。県環境科学国際センター(埼玉県加須市)は、県民から情報提供を募る「クビアカツヤカミキリ発見大調査」の2023年度の結果を公表。人気の花見スポットがある川越市や北本市など13市町で新たに被害が報告され、県内の被害箇所数は22年度の約1.4倍の832カ所に増加した。    被害が報告された県内市町村は22年度より14カ所多い36市町。報告が多かったのは熊谷市(153カ所)や本庄市(97カ所)、草加市(90カ所)。新たに報告された市町の中で最も多かったのは嵐山町(20カ所)だった。川越市と秩父市では、幼虫が排出する「フラス」ではなく、成虫のみがそれぞれ1カ所で確認された。一方、前年度に成虫のみ1カ所で確認された滑川町では、23年度は37カ所に拡大した。

 クビアカツヤカミキリはもともと中国や朝鮮半島、ベトナムに生息し、日本には輸送資材に紛れ込んで侵入したとみられている。桜などバラ科の樹木の樹皮に卵を産み付け、幼虫は木を食べながら侵入する。ふんや木くずが混ざったフラスが根元に積もり、被害の目印となる。

 食害が進行した樹木は枯死する場合がある。防除には、成虫を見つけたらすぐに補殺することや、農薬の注入、成虫の拡散防止のため樹木にネットを巻き付けるなどの方法がある。同センターは新たに被害が報告された市町と連携して現地での確認や防除を検討するという。

 県民から情報提供を受け付ける発見大調査は2018年度から行われ、今回で6回目。成虫が発生し、被害が増える6~8月に行われた。被害が報告されたのは18年度に8市だったが、6年間で4倍以上となった。

 同センターの担当者は「一般の人からの報告なので、見つかっていない被害が出ている可能性もある」としつつ、「被害が広範囲に及んでいることは確か」と説明。「ネットでの防除では対処が追いつかない。補殺を含め、さらなる対策を考えなくてはならない」と危機感を強めている。今年も大調査の実施を予定しており、期間中以外でも被害を発見した場合は写真や場所などの報告を求めているという。

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