大島造船所と長崎県が連携協定 製造業の人材確保へ 工場見学、最先端の技術発信

大石知事と協定書を交わした平賀社長(左から4人目)=県庁

 大島造船所(西海市)と長崎県は24日、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)社会の実現に向け、県内造船関連産業の振興を図るため、連携協定を締結した。造船業の魅力を県内外に発信し人材の確保育成につなげる。
 同社が三菱重工業から2022年に譲り受けた香焼工場(長崎市香焼町)で環境配慮型船などの建造を今後本格化させる上で、優秀な人材確保が不可欠として県に協定締結を持ちかけた。
 具体策として、県は長崎、佐世保、西海3市とも連携し、広報媒体やイベントを通じて造船業の魅力を積極的に情報発信。小学生らを対象に工場見学を実施するため市や企業との調整役を担う。一方、同社は県民対象の工場見学ツアーを受け入れるほか、最先端の技術や知見を発信。自治体職員や県民向けの講座を検討する。
 県庁で平賀英一社長と大石賢吾知事が協定書に署名した。平賀社長は「事業を継続する上で開発や建造に携わる人材が必要。造船を基幹産業とする本県には育成する高校、高専、大学がそろっているが、近年は確保が難しくなっている。県の組織力と知見をお借りしたい」と述べた。大石知事は「(子どもの)保護者に伝える機会も増やしたい」と応じた。
 同社は主力のバルクキャリアー(ばら積み貨物船)のほか、環境性能の高い風力推進船や液化天然ガス(LNG)燃料船などを建造。香焼工場では浮体式洋上風力発電建造事業への参入にも意欲を示している。

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