子どもが都内の私立大学に通う場合、学費と仕送り額はいくらになりますか?

私立大学の入学費用や学費の目安

まずは、私立大学の入学費用や学費がどのくらい必要かを見てみましょう。

文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果」によると、私立大学の入学費用および授業料、施設設備費の合計額は、平均136万5282円(うち授業料95万9205円)です。

これは、全国の私立大学の費用を調査した結果ですが、東京地区私立大学教職員組合連合も「私立大学新入生の家計負担調査 2023年度」のなかで同様の数字を引用しているため、首都圏の大学でもおおむね同様の費用感であると考えてよいでしょう。

また、実験実習料、その他を加えた初年度学生納付金の平均額は、147万7339円となっています。さらに2年生以降3年間分の授業料を加えると、4年間では430万円以上の費用を見積もっておく必要があるでしょう。

なお、私立大学は学校ごとに独自で学費を設定しており、同じ学校でも学部によって必要な費用が大きく異なる場合もあります。上記の数字はあくまでもひとつの目安として捉え、志望校ではどのくらいの費用が必要なのか、各大学のホームページなどで確認しておくとよいでしょう。

東京都内私立大学の在学生への仕送り額は平均約9万円

東京地区私立大学教職員組合連合「私立大学新入生の家計負担調査 2023年度」によると、首都圏の大学に通う学生への、家庭からの仕送り月額の平均は8万9300円です。入学直後で教材の購入や新生活の準備で出費が多くなる5月の仕送り額は、平均10万円となっています。

また、6月以降の仕送り額に占める家賃の割合は78.1%で、家賃を除くと1日当たり653円しか残らない計算です。本人がアルバイトなどで収入を得られる環境ではない場合には、家庭からの仕送り額は平均と比べて大幅な増額が必要となる可能性が高いでしょう。

条件を満たせば大学無償化制度で授業料等の支援を受けられる

世帯の収入などの条件を満たしている場合は、高等教育の修学支援新制度(大学無償化制度)による授業料などの支援や、返還不要の給付型奨学金を受け取れる可能性があります。

制度を利用できるのは、第1区分(住民税非課税世帯)~第3区分(年収約380万円以下)までの各区分に該当する世帯と、年収約600万円以下の多子世帯です(年収の目安は片働きの両親・本人・中学生の4人世帯の場合)。

私立大学に自宅外から通学する場合は、最大で入学金26万円、授業料70万円の支援と、年額最大91万円の給付型奨学金を受け取れます。家計が厳しい場合は、制度の対象に該当するかどうか確認してみましょう。

自宅外通学の場合は生活環境を整えるための費用もかかることに注意

自宅外から通学する場合には、入学前に住居を借りる費用や生活を整えるための費用がかかることも想定しておきましょう。

「私立大学新入生の家計負担調査 2023年度」によると、首都圏の私立大学に在籍する自宅外通学者の、受験から入学までの費用の平均(学校納付金を除く)は図表1のとおりです。

【図表1】

東京地区私立大学教職員組合連合「私立大学新入生の家計負担調査 2023年度」をもとに筆者作成

学費や仕送り以外に、入学準備の資金として100万円程度必要となる可能性を頭に置いて、資金計画を立てましょう。

大学入学~卒業にかかる費用を試算して資金を準備しよう

都内の私立大学に入学すると、学費だけでも4年間で平均400万円を超える費用が必要となります。また、自宅外通学が必要な場合には、準備資金と仕送りで、さらに200万円ほどの費用を見積もっておく必要があるでしょう。

何にいくらくらいの費用が必要かを事前に整理して、いざ進学というときになって見込み違いにならないよう、しっかりと資金計画を立てておくことが大切です。

出典

文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
東京地区私立大学教職員組合連合 私立大学新入生の家計負担調査
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 大学生の皆さんへ 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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