柴犬の「かぼす」が死亡 ネットミームや暗号通貨で世界的人気に

「ドージ(DOGE)」としてインターネットで人気となり、暗号通貨のモチーフともなった柴犬の「かぼす」が死去した。飼い主が24日に発表した。

かぼすは白血病と肝臓疾患を患っており、5月24日に亡くなった。

飼い主の佐藤敦子さん(62)はこの日のブログで、かぼすが「眠るようにそっと逝きました」と報告。「かぼちゃんは世界一幸せな犬だったと思います。そして私は世界一幸せな飼い主でした」とつづった。

保護犬だったため、かぼすの本当の誕生日は不明だが、佐藤さんは18歳と推定している。

千葉県佐倉市で教師をしている佐藤さんは、パピーミルからかぼすを引き取った2年後の2010年、かぼすがソファの上で前足を交差させている写真を撮った。

この写真をブログに投稿したところ、掲示板サイト「レディット」に共有され、ミーム(写真や動画を面白おかしく加工したもの)として人気に火が付いた。このミームでは大抵、かぼすをはじめとする「ドージ」たちの内心が、おかしみのある片言の英語で語られている。

その後、この写真は非代替性トークン(NFT)として400万ドルで売却されたほか、暗号通貨「ドージコイン」の顔にもなった。ドージコインは2人のソフトウエア・エンジニアが冗談で始めたものだが、現在では時価総額230億ドルと、世界で8番目に価値のある暗号通貨となっている。

ドージコインの支援者には、ヒップホップスターのスヌープ・ドッグ氏や、ロックバンド「キッス」のベーシスト、ジーン・シモンズ氏などがいる。

しかし、ドージコインを最も熱心に支持するのは、米富豪のイーロン・マスク氏だ。マスク氏はX(旧ツイッター)でこの通貨についてジョークを飛ばし、「人々の暗号通貨」と称えた。これにより、ドージコインの市場価値は高騰した。

かぼすは2022年末に白血病と肝臓疾患と診断された。佐藤さんは最近のAFP通信の取材で、世界中のファンの祈りが「見えない力」となって、かぼすに力を与えてくれていると話していた。

佐藤さんは、かぼすにまつわる「信じられない」出来事に慣れきってしまい、昨年マスク氏がツイッターのアイコンを現在のXからかぼすの顔に変えた時にも、「それほど驚きもしなかった」という。

また昨年11月には、カボスのミームに特化した暗号通貨団体「Own The Doge」がクラウドファンディングで作った10万ドルのかぼすとソファの銅像が、佐倉市の公園でお披露目された。

佐藤さんと「Own The Doge」は、慈善団体「セーブ・ザ・チルドレン」に100万ドル以上を寄付するなど、国際的な慈善団体にも多額の寄付を行っている。セーブ・ザ・チルドレンに寄せられた100万ドル以上の寄付は、「セーブ・ザ・チルドレン」によると、かぼすを通じた寄付は、これまで受け取った中で「唯一最大の暗号による寄付」だという。

(英語記事

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