道の駅が野菜生産へ 佐野「どまんなかたぬま」が2028年から 高齢化、供給減を懸念

東京圏にも商圏を広げる道の駅どまんなかたぬま=2024年3月31日

 栃木県佐野市の「道の駅どまんなかたぬま」を運営するどまんなかたぬま(同市吉水町、篠原敏秀(しのはらとしひで)社長)は、自社で農園を整備し野菜栽培に乗り出す。道の駅に青果物を納める生産者が高齢化する中、自社生産で長期的に商品を確保する考えだ。2028年の生産開始を目指し、農地確保や農業従事者の育成を図る。併せて、農産物直売所「どまんなかマルシェ」の複数店舗化も目指す。

 野菜栽培やマルシェ拡大は、今後10年間を見据えた事業計画に盛り込んだ。人口減少などにより将来的に道の駅が淘汰(とうた)される可能性もあるとして、成長し続ける目標を設定した。計画は昨年度、県経営品質協議会の「経営デザイン賞」を受賞した。

 道の駅どまんなかたぬまに野菜や果物を納める会員生産者は約230人いるが、高齢化が進み将来の生産力低下が懸念される。こうした状況を受け、同社は27年に農地を確保し、28年から生産を始める計画を立てた。自社農園では無農薬など付加価値の高い農産物を栽培する予定で、農業従事者の人材育成も図る。

 マルシェ事業では15年にイオンモール小山に「どまんなかマルシェ」を出店し、小山市などの農家の協力を得ながら直売事業を行っている。篠原社長は「イオンへの来店目的とは違った顧客層の集客に貢献してきた」と胸を張る。

 これまでのノウハウを生かしてマルシェ拡大を目指す方針で、他施設での店舗運営受託を目指す。マルシェ運営の専門家を育成し、31年の創業30周年までに複数店舗化を図る。

 篠原社長は「車社会では身近な道の駅だが、人口減少などでその前提が今後崩れる可能性がある。時代に合わせて生き残れる企業でありたい」と話した。

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