TVでよく開かずの金庫を開けるのをやっていますが、大金が入っていたら相続税がかかるのでしょうか? それとも時効となるのでしょうか?

タンス預金は相続税の対象になる

金庫などに保管されていた現金は手許(てもと)現金やタンス預金とも呼ばれ、相続税の対象になります。被相続人が亡くなった時点で所有していた現金、有価証券、不動産などの財産は、すべて相続財産として申告が必要です。

そのため、タンスや銀行の貸金庫、財布の中にあった被相続人の現金などは、金額に関わらず相続財産として扱われ、財産額に応じて相続税が発生します。

相続税の時効は5年または7年

相続税の時効は、5年または7年です。具体的には、被相続人が死亡したと知った日の翌日から10ヶ月以内が申告期限で、その後5年または7年経過すると時効が成立します。

国税通則法第七十条一項によって、相続税の時効は原則5年と規定されていますが、虚偽や捏造などの悪意がある場合には、時効が7年に延長されます。そのため、被相続人の財産が見つかり、時効が成立していない場合は、相続税の納付が必要です。

大金が見つかっても黙っていれば税務署にはバレない?

「金庫から大金が見つかっても黙っていればバレない」と考える方もいるかもしれません。しかし、税務署はKSK(国税総合管理)システムなどを通じて、被相続人の過去の所得情報や納税情報、財産情報などを詳細に把握しています。

そのため、大金が見つかったことを隠し通すことはできません。速やかに相続税の申告を行い、税金を納付することをおすすめします。隠そうとして税務署に発覚した場合、ペナルティーを受けるリスクがあるため絶対にやめましょう。

相続税の指摘を受けた場合に発生するペナルティー

期限内に相続税の手続きを行わず、税務署から指摘を受けた場合、無申告加算税や延滞税などのペナルティーが発生する可能性があります。本項では、相続税の指摘を受けた場合に発生する主なペナルティーについて見ていきましょう。

無申告加算税

無申告加算税は、期限内に申告を行わなかった場合に発生する加算税です。加算される税率は、納付すべき税額に応じて決まります。詳細は、図表1のとおりです。

【図表1】

※国税庁「確定申告を忘れたとき」をもとに筆者が作成

期限から1ヶ月以内に自主的に申告した場合や、期限内に申告の意思があったと認められた場合は、無申告加算税は発生しません。

延滞税

期限後に申告する場合は、延滞税がかかります。延滞税は、期限翌日から納付日までの期間に応じて税率が異なります。詳細は、以下のとおりです。

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・申告期限の翌日〜2ヶ月まで:「年7.3%」もしくは「延滞税特例基準割合(年2.4%)+1%」のどちらか低いほう__

・申告期限の翌日〜2ヶ月以降:「年14.6%」もしくは「延滞税特例基準割合(年8.7%)+7.3%」のどちらか低いほう

過少申告加算税

過少申告加算税は、申告した税額が本来の税額よりも少なかった場合に発生する加算税です。過少申告加算税の額は、新たに納付する税金の10%に相当します。

ただし、追加で納付する税額が、最初に申告した税額または50万円のいずれか大きいほうを超える場合については、その超える部分に15%が課税されます。

重加算税

重加算税は、申告内容が意図的に仮装や隠蔽されたと客観的に判断された場合に発生するペナルティーです。追加で納付する税金の35〜50%が課税されます。非常に重いペナルティーであり、重加算税が発生するような行為は絶対に避けましょう。

開かずの金庫に大金が入っていた場合は相続税の対象になる! 速やかに申告が必要

タンスや銀行の貸金庫、財布の中などから被相続人の財産が見つかった場合、相続税の対象になります。速やかに申告を行い、税金を納める必要があります。

申告を行わないと、無申告加算税などのペナルティーが発生する可能性があるため注意が必要です。間違っても、見つかった大金を隠そうと考えるのは絶対に避けてください。きちんと申告し、必要な税金を納めて相続しましょう。

出典

国税庁 相続税の申告と納税
国税通則法
国税庁 確定申告を忘れたとき
国税庁 延滞税について
国税庁 確定申告を間違えたとき

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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