シネフィル声優・内山昂輝「自分を拘束できるという利点もある」映画を劇場で鑑賞することの醍醐味

地球外からの来訪者が訪れる中、青春を謳歌する少女たちの姿を描いた映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(以下、デデデデ)』。この作品で小比類巻健一を演じるのは声優・内山昂輝だ。

彼は毎年、自分が1年間で観た映画のランキングをラジオ『内山昂輝の1クール!』で発表する映画好きでもある。そんな彼に映画の醍醐味、劇場で映画を観る体験について聞いた。【第4回/全4回】

――映画『デデデデ』後章がいよいよ公開されます。観客のみなさんに、この作品をどのように楽しんでほしいですか?

内山「『デデデデ』の原作を読んだときに感じたことなんですが、原作を最後まで読んでみると、また最初から読み直してみたくなる作りになっているんですよね。結末まで知ると、“このときのキャラクターたちは何を考えていたんだろう”と気になるんです。

今回、映像的にもチャレンジがたくさんあってとても見ごたえがあるうえに、その原作ならではの面白さも詰まっている。後章を観た後に、前章をさかのぼって観たくなるんです。原作と同じように、もう一度最初から映画を見るときっと新たな感想が芽生えてくると思います。後章を観たら、また二周目で違う味を楽しめる。そういうところも含めて劇場で観るのにぴったりの作品だなと感じています」

内山さんが考える、映画を劇場で見ることの醍醐味

――内山さんは映画がお好きということですが、いまお話されたように、映画を劇場で観ることの醍醐味とは、具体的にはどんな部分にあると思いますか?

内山「まず、通り一遍の言い方をすれば、大画面で映像を観ることができて、なおかつ音響も良いという部分だと思うんです。とくに今回の『デデデデ』に関して言えば、映像も音響もすごく作り込まれているので、劇場で観ることで鑑賞体験の向上につながると思います。やっぱり映画として設計されている作品は、当然、劇場で見ることで一番ポテンシャルを発揮しますからね。それだけでも劇場に足を運ぶ意味があると思います。」

――そうですね。

内山「あと、劇場で映画を見ると、自分を拘束できるという利点もあるなと思っています。今は配信サービスもとても便利ですが、どうしても家で見ていると、再生をいったん止めてしまったり、巻き戻してしまったりする。

とくに情報量が多い作品とか、複雑な作品は立ち止まりたくなってしまうんですよね。でも、劇場で映画を見る時は、一時停止も巻き戻しもできないので、集中して映像を見るしかない。映画と純粋に向かい合う瞬間をつくるために、僕は映画館に足を運んでいるような気がします」

――映画館で一気に見るという面白さですよね。劇場で見ていると、ふと見逃してしまったり、セリフをうっかり聞き逃してしまったりもする。だからこそ集中する意味がありますし、そういう不自由さも映画と向き合う良さかもしれませんね。

内山「そうですね。そうやって映画を劇場で観ていただけたら良いんじゃないかと思います」

内山昂輝 撮影/ふたまん+編集部

内山昂輝(うちやま・こうき)/8月16日生まれ、劇団ひまわり所属。声優としての代表作にゲーム『キングダム ハーツ』シリーズ(ロクサス、ヴェントゥス)、『機動戦士ガンダムUC』(バナージ・リンクス)、『ピンポン THE ANIMATION』(スマイル/月本誠)、『ハイキュー!!』(月島蛍)、『呪術廻戦』(狗巻棘)などがある。

■作品情報
映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』
2024年5月24日(金)より全国公開/前章公開中
原作:浅野いにお『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』 小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』刊
監督:黒川智之
シリーズ構成・脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン・総作画監督:伊東伸高
〈声の出演〉
幾田りら、あの、種﨑敦美、島袋美由利、大木咲絵子、和氣あず未、白石涼子、入野自由、内山昂輝、坂泰斗、諏訪部順一、津田健次郎 / 竹中直人
美術監督:西村美香
音楽:梅林太郎
アニメーション制作:Production +h.

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