夫の年収は500万円、契約社員で昇給が期待できません。このままだったら将来の年金はどのくらいでしょうか?

公的年金は国民年金と厚生年金の2種類

公的年金は、国民年金(基礎)と厚生年金の2階建て構造です。国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の者に加入義務があり、納付した月数に応じて年金額が決まります。

厚生年金は、適用事業所で働く会社員や公務員などが加入する年金です。国民年金とは異なり、働いていたときの給料や加入期間に応じて決まるため、受け取れる金額は人それぞれ異なります。

保険料は毎月の給料や賞与から天引きされており、厚生年金だけでなく国民年金の分も含まれています。そのため、厚生年金に加入していれば、厚生年金と国民年金の両方の受け取りが可能です。

契約社員でも、臨時や季節的に雇用される人を除き、就業規則や労働契約などに定められた1週間の所定労働時間および1月の所定労働日数の4分の3以上ある人ならば厚生年金に加入できます。

それに対し、契約社員でも扶養範囲内でしか働いていない、所定労働時間が20時間以上でも月額賃金が8万8000円(年収105万6000円)に満たないなど、厚生年金の加入要件に該当しない場合、将来的に受け取れるのは国民年金のみです。

将来の年金額を計算する方法

原則として65歳以降に受給権が発生する国民年金と厚生年金ですが、それぞれの受給額がどのくらいになるのかを解説します。

国民年金は一律で計算する

国民年金は、受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間など)が10年以上ある場合に、原則として65歳から受け取れます。保険料納付済期間とは、保険料を納付した期間と納付したと見なされる期間です。

保険料免除期間とは国民年金に加入する期間のうち、経済的な事情があって保険料の納付の免除を受けた期間を意味します。

国民年金保険料を20歳から60歳までの40年間すべて納付した場合、満額で月額6万8000円、年額81万6000円の受け取りが可能です。国民年金を満額で受け取りたいのであれば、40年間の国民年金保険料を納付しなければなりません。

厚生年金は平均標準報酬額から計算する

厚生年金の受給額は、毎月の給与や賞与、保険料の納付月数に応じて決まる仕組みです。そのため、厚生年金の加入期間が長く、給与や賞与が高ければ、厚生年金の受給額も多くなります。

厚生年金の受給額は、報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額となり、報酬比例金額は年金額を計算する際の基礎となる金額です。報酬比例金額の計算式は以下のとおりで、厚生年金に加入していた時期により異なります。

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・2003年3月以前:平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月以前の加入月数
・2003年4月以後:平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以後の加入月数
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2003年3月以前は標準報酬月額(平均月収)、2003年3月以後は平均標準報酬額(標準報酬月額に標準賞与額を含む平均月収)を基礎として計算します。

例えば、2003年4月以後に厚生年金に40年間加入し、その際の平均年収が500万円(月額41万6666万円)の場合の報酬比例年金額は、109万6198円(41万6666円×5.481/1000×480ヶ月)です。109万6198円に国民年金の受給額81万6000円を合算すると、年収500万円の人の年金額は191万2198円となります。

経過的加算とは、20歳よりも前、または60歳以降に厚生年金に加入していた人を対象に加算され、1628円×(20歳未満60歳以降の厚生年金加入月数)にて計算します。加入月数の上限は480ヶ月となっており、老齢基礎年金が満額の場合は加算されません。

加給年金は、厚生年金の加入期間が20年以上の人が65歳になった際に、配偶者や原則として18歳未満の子がいる場合に加算されます。

加給年金額は、配偶者と1人目・2人目の子が各23万4800円、3人目以降の子は各7万8300円です。配偶者の加給年金額については、厚生年金の受給権者の生年月日に応じて、3万4700円~7万3300円の特別加算があります。

公的年金が少ないと感じたら早めに対策を始めよう

契約社員として働いている場合、国民年金だけでなく厚生年金に加入していたか、平均標準報酬月額がどのくらいだったのかなどで受け取れる年金額に違いがあります。契約社員の場合、昇給を期待できなかったり、退職金が支給されなかったりするなど、老後に備えて貯金をしたくても思うようにできないかもしれません。

そこで、65歳以降に受け取れる年金がどのくらいなのかを事前に把握しておきましょう。そのうえで、年金だけではゆとりある生活ができなそうとなったら、iDeCo・新NISAなどの投資をしたり、60歳以降も厚生年金に加入したりするなどの対策を早い段階から検討してみてください。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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